5月25日、NTTドコモがおサイフケータイ向けクレジット決済サービス「DCMX mini」の会員申込数を明らかにした。サービス開始後1カ月で、申込数は15万人を超えたという(5月25日の記事参照)。
周知のとおり、DCMX miniは利用のハードルが低く、多くのユーザーが使えるという「ボリュームの厚さ」が強みのクレジット決済サービスだ。サービス開始後1ヶ月で15万人という初速の勢いには、その“規模の可能性”が如実に表れている。
特に注目すべきは、DCMX miniがまだ「完全ではない」にも関わらず、順調に会員数を伸ばしていることだろう。
ドコモでは今夏の902iSシリーズ以降、主力ラインアップすべてに「おサイフケータイ機能」と「DCMX miniアプリ」をセットで導入する。しかし、既存のおサイフケータイユーザーはDCMX miniのアプリをダウンロードしなければならない。今回、発表されたDCMX miniの申込数は、このアプリ導入のハードルが取り払われていない段階での獲得数である。
また、ドコモのDCMX mini / DCMXの会員獲得キャンペーンも、まだ本格化していないようだ。筆者は今月、東京、大阪、仙台、名古屋で複数のドコモショップを視察したが、DCMXのポスターやプロモーションビデオの上映はあったものの、窓口や特設ブースでの会員獲得は本格化していない印象を受けた。DCMXのスタートと902iSシリーズ発売とあわせて、ドコモショップや家電量販店などでの会員獲得キャンペーンが本格化するのだろう。
902iSの発売と、その後のドコモの本格的な会員獲得が始まれば、DCMX mini / DCMXは、今後急速な会員数の増大が期待できる。
その一方で、DCMX mini / DCMXの当面の課題といえるのがiD対応店舗の拡大だ。ドコモでは2006年度末までにiD対応店舗を増やし、リーダーライターを15万台設置するとしているが、4月末でのiD対応店舗は3万店に留まる(5月25日の記事参照)。「Edy」のような全国規模での広がりがまだなく、駅を対応店舗拡大の軸とする「Suica電子マネー」のように分かりやすいエリアでの集中展開もない。
おサイフケータイユーザーは、一度サービスを経験すると、自らの行動範囲に“使える場所”の拡大を強く求めるようになる。このタイミングで、利用可能店舗が少ないと、当然ながらユーザーの不満が高くなり、サービスへの評価が下がってしまう。
今後、DCMX mini / DCMXのユーザーが急増することを考えれば、「受け皿」になるiD対応店舗の拡大は急務だ。特に日常域での利用頻度増加に繋がるコンビニエンスストアとスーパーマーケット、ドラッグストアなどでのiD対応店舗拡大は急がなければならないだろう。
DCMX miniは携帯電話業界のスピード感覚で会員増加が見込めるだけに、リアル側のiD対応店舗がそのスピードに追いつけるかが課題になる。加盟店業務を行う三井住友カードと、ドコモが足並みを合わせて、素速いサービス展開ができるか。その点が今夏の注目になりそうだ。
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