「おはよう」&ピッ!で安心――立命館小学校のハイテク児童証 神尾寿の時事日想・特別編: (2/2 ページ)

» 2006年06月07日 11時33分 公開
[神尾寿,ITmedia]
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学校側は出席確認、保護者にはメールが届く

 立命館小学校がFeliCa / PiTaPa児童証を導入した背景にあるのは、子どもの安全に対するニーズの高まりがある。特に私立小学校では、低学年の子ども達が電車を乗り継いで登校してくる。親の不安は無視できない。

 そこで保護者が安心できるサービスとして、児童達がFeliCa / PiTaPa児童証を学校でかざすと、自動的に親の携帯電話に「通学状況レポート」としてメールが送られる仕組みが用意されている。また、その一方で、学校側の出欠管理システムでも出席が確認できる。

 児童が欠席する場合は、あらかじめ保護者からFAXで学校側に連絡することが義務づけられている。子ども達の登校が始まる前には欠席の登録が終わっているため、「子どもがきちんと登校したか」学校側も保護者もすぐに分かるのだ。

 さらにPiTaPa児童証では、学校の登下校確認だけでなく、駅の入退場や乗り換え状況が、学校側で確認できるようになっている。例えば、子どもが乗り継ぎに失敗したり、下車駅を間違えたりしても、駅改札に児童証をかざした段階で居場所がわかるという。

photo 児童が登校すると、保護者には通学状況レポートがメールで送られる
photo リーダー/ライターは玄関ホールに4カ所。登下校のピーク時には児童たちの列ができる

photo 学校側の管理システムでは、全児童のステータス一覧。各児童の通学状況が事細かに確認できる

 社会環境の変化の中で、子どもの安全と保護者の安心は重要なキーワードになっている。その中で立命館小学校の児童証システムは、FeliCaが安心・安全分野でも大いに役立つことの好例だと言えるだろう。特に、スルッとKANSAIのPiTaPaを使った「学校と公共交通の連携」は、FeliCaプラットフォームの広がりと可能性をうまく使ったソリューションである。

 関東でも、JR東日本のSuicaが公共交通分野のFeliCaプラットフォームとして普及しているほか、今年度には多くの学校を沿線に抱える私鉄各社がPASMOを開始する。FeliCaを軸にした「学校×公共交通」の連携ソリューションが実現しやすい土壌ができている。

 子どもの安全はすべての親の願いであるだけでなく、少子化の中で社会全体の最重要なニーズである。私立校もちろん、公立校においても、公共交通をはじめとするFeliCaの広がりを積極的に活用して欲しいと思う。

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