ドコモのボディブローは効いてきている――ドコモ東海・榎啓一社長に聞く(後編) Interview(3/4 ページ)

» 2006年08月11日 23時24分 公開
[神尾寿,ITmedia]

 榎氏は「個人的な見解」と前置きした上で、デコメールがヒットしている理由をこう説明する。

 「僕自身はテレビ電話よりデコメールの方が(ビジネスの)可能性があると思っています。と言いますのも、世の中の傾向が“電話”や“テレビ電話”のようにホットでダイレクトなコミュニケーションよりも、時代は“メール”のような(距離感に)間のあるコミュニケーションが受け入れられるようになっている。直接的に話すよりも、メールの方が気が楽という人が増えている」(榎氏)

 しかし、榎氏は今のデコメールに不満もある。操作性の部分だ。

 「デコメールはいいサービスなんですけど、操作性にまだ改善の余地がある。これは東京の開発チームにずいぶんと要望を出していて、902i/iSでかなりよくなった。903iではもっとよくなりますよ。今までよりも自然に使えるようになる。またコミュニケーションは複数で行うものなので、ユーザー獲得にも効果がある。MNPに向けてのボディブロー、ドコモの武器になると考えています」(榎氏)

東海地域の販売インフラ強化

 各地域でのシェア獲得競争を考える上で、重要になるのが販売インフラである。ドコモ東海の売り上げ比率は、ドコモショップとドコモモールと呼ばれる専売店が全体の約5割、残りを量販店と併売店で分け合う状況になっている。九州や東北など専売店の比率が6〜7割に達する地域と比べるとやや低いが、それでも専売店は重要な役割を担っている。

 「(MNPに向けて)今は専売店のチャネルを整理している最中です。ドコモショップとドコモモールのうち、後者は専売店なのに故障修理が受け付けられないなど、お客様から見てやや中途半端な部分があります。ですから立地がよく、成績のいいドコモモールの一部は、ドコモショップにしていきます。

 また、東海地域の特徴としては、併売店がまだ多いことですね。ただ路面店のような小規模なところは淘汰されて、最終的には専売店と量販店、一部有力な併売店だけ残ると思っています」(榎氏)

 目前に迫るMNP対策としては、ドコモショップの質の向上や立地が重要になる。ドコモモールの昇格もその取り組みの1つだが、「時間的な問題もあり、MNPまでにすべて間に合うわけではない」(榎氏)という。一方で、専売店の商圏がきちんとカバーするように立地の最適化にも注力している。

 「(専売店の商圏で)穴が空いているような場所には店舗を移転する、もしくは新店舗を打ち込むといったことは、まさに今やっている最中ですね」(榎氏)

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