ITmedia ビジネスオンライン

連載

Interview:

トヨタとドコモが同じ夢に向かう――トヨタファイナンスの戦略(後編) (2/3)

2006年09月19日 12時02分 更新

おサイフケータイに対するスタンス

 トヨタファイナンスは今回、QUICPayを一体型カードとして提供するが、これは当然ながらおサイフケータイでも利用できる。「標準的な提供は一体型カード」(後藤氏)というスタンスだ。

 「(QUICPayの)子カードとおサイフケータイはオプションという形になります。一体型カードを日常的に使うのに抵抗がある人は、子カードやおサイフケータイをお使いいただければと考えています」(後藤氏)

 「おサイフケータイの利用は(初期設定が)面倒くさいという人がいますからね。またアンケートなど採ると、“ケータイでのクレジット利用は不安”と感じるお客様もいる。FeliCaクレジット決済には、いろいろな考え方がある。ですから、まずは基本としてクレジットカード本体に(FeliCaクレジット機能を)入れましょう、という考え方です。

 しかし、おサイフケータイで(QUICPayが)簡単に使えるようにはしていきます。従来、QUICPayでは書面での申し込みが必要だったのですが、12月を目処に即時申し込みサービスを導入して、すぐに使い始められるようにします」(宮本氏)

 実際にはおサイフケータイは通信機能を使った利用停止ができるなど、カード型に比べるとセキュリティは高い。利用開始の手続きも初期のころに比べるとずいぶんと簡単になった。しかし、ユーザーに理解が行き届いていないのも事実だろう。

 トヨタファイナンスは、一体型カードでQUICPayの利用率を迅速に上げ、おサイフケータイは希望者が簡単に使えるようにしておく。このスタンスは、「まず、おサイフケータイありき」の戦略をとらざるを得ないドコモのDCMX mini / DCMXとは異なるポイントだ。

 「素朴、普通な考え方なんでしょうけど、やはり普及を考えたら一体型カードを軸にして、選択肢として子カードやおサイフケータイを展開した方がいい。少額から高額までクレジットカードの利用を広げることが目標で、(FeliCa決済だからといって)何も特別なことではないのです。これはイシュアとして当たり前のスタンスだと思うのですが、他の会社がそういう展開をしてこなかったので、うちが率先してやることにしました」(宮本氏)

アクワイアラ業務も本格展開

 トヨタファイナンスはカードの更新切り替えで一体型カードと交換していくため、これから急ピッチでQUICPayユーザーが増える。年度内に85万人、その後は「1年間に約100万人のペース」(後藤氏)でQUICPay内蔵カードへの切り替えが進むという。新規加入者分は、もちろん一体型カードの利用になる。だが、QUICPayなどFeliCaクレジット決済の導入で重要なのは、その機能を「死蔵させないようにする」(後藤氏)だ。ここで重要なのが、使える場所を増やすことである。

 「QUICPay本格展開を機会として、トヨタファイナンスもアクワイアラ業務を本格展開します。これまではイシュアとしての展開が主だったのですが、少額決済を含むキャッシュレス化を早く作るにはアクワイアラ業務も必要という判断をしました。(FeliCaクレジット決済の)普及や利用促進のためには誰かがインフラ投資をしなければならない。リスクを取る必要がある」(後藤氏)

 この「誰かがリスクを取る」うえで、ドコモが果たした役割の大きさを、トヨタファイナンスは認める。

 「これ(FeliCaクレジット決済)が広がるかわからない中で、ドコモさんがドンッと(iD/DCMXを)ぶちあげてから流れが加速していますから、我々も“FeliCaクレジット決済は利便性の高いものだから早く広げよう”という決断をしたんですね。イシュアとしてはもちろん、アクワイアラとしてもリスクを取ってやっていこうという判断になりました」(後藤氏)

 「また、アクワイアラ業務はお客様に対する責任でもありますね。今後、全面的に一体型カードに切り替える以上、“使える場所は広がるのを待ってください”ではお客様に申し訳が立たない」(宮本氏)

[神尾寿,ITmedia]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.