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» 2006年10月23日 16時23分 公開

モバイルもWeb 2.0の時代へ──各プレーヤーが語る、ビジネスの可能性Symbian Smartphone Show 2006

PCに続き、モバイルにもWeb 2.0の波が押し寄せている。通信オペレーターや端末メーカー、ソフトウェアベンダーは、こうしたトレンドの可能性をどのように捉えているのか。

[末岡洋子,ITmedia]

 モバイルの世界にも“Web 2.0”のトレンドが押し寄せようとしている。英Symbianが英ロンドンで開催した「Symbian Smartphone Show 2006」の“モバイルWeb 2.0”をテーマとしたセッションで、ソフトウェアベンダー、端末メーカー、オペレーターがそれぞれ立場から可能性と課題について話した。

データ伝送をいかに効率化するか──ソフトウェアベンダーのアプローチ

 “モバイルWeb 2.0”を意識した製品としてソフトウェアベンダーの英Cognimaが紹介したのは、携帯電話向けの写真サービス「ShoZu」。すでにNokiaがFlickrと提携するなど(4月25日の記事参照)、カメラ付き携帯電話からの写真アップロードは容易になりつつあるが、専用クライアントを利用するShoZuはさらにそれを簡略化するという。ShoZuでは、写真や動画を撮影したあとに「アップロードボタンを押す」→「タグ付け」→「対象サイト」とたどるだけで静止画や動画をアップロードできる。

 “アップロードした写真に対するコメントをチェックし、それに返事をする”という作業について、モバイルブラウザを利用するFlickrと専用クライアントを利用するShoZuとを比べると、Flickrがログインから165秒がかかるのに対し、ShoZuは16秒。伝送するデータ量はFlickrが合計71.41Kバイト、ShoZuでは3.25Kバイトと大幅に軽減される。

 CognimaでCTOを務めるアンディ・ティラー氏は、「Web 2.0で必要になるブラウザがあればいいというわけではない」と説明する。同じWeb 2.0とはいえ、モバイルには(まだ)特別な技術が必要というわけだ。ShoZuの場合は、モバイルクライアントソフトとの同期技術がそれにあたる。

 「確かに、クライアントソフトをダウンロードしなければならないというのは障害といえる」(ティラー氏)。そこでShoZuでは、ダウンロードに抵抗が少ない若者層をターゲットとしながら、端末にプリインストールするなどの施策も検討しているという。

 このほか、ベンチャー企業の米Lampdeskは、「Web Virtual Machine」(Web VM)を携帯電話にインストールすることで、Webアプリケーションのパフォーマンスを改善するという。Web VMはHTTPサーバ、SQLデータベース、SOAサービススタックなどで構成されるWebアプリケーションサーバ、Webバンドルを含む軽量プログラムで、「ネットワークの利用を最適化し、Webアプリケーションのパフォーマンスを上げる」と同社のCTO、グレッグ・サイモン氏は説明した。同社はこのWeb VMを、Web 2.0のランタイム環境と称している。

Nokiaのアプローチはマルチメディアコンピュータ

 端末メーカーは、Nseriesで“マルチメディアコンピュータ”というカテゴリを作ろうとするNokiaが取り組みを紹介した。

 Nokiaはマルチメディアコンピュータというカテゴリにより、携帯電話メーカーの枠を超えることを狙う(2月27日の記事参照)。「音声通話はアプリの1つにすぎない」と同社マルチメディア担当上級マネージャのビョルン・ウィグフォース氏は話す。

 モバイルWeb 2.0向けには、無線LANをサポートすることでVoIP通信を実現するほか、ユーザーがコミュニケーションできる状態なのかどうかを把握するためのプレゼンス機能を強化。イメージングでは、Flickrのプリインストールや動画アップロードサービスなどの機能を揃え、今後はリコメンデーション機能の実装も検討しているという。また「S60 3rd Edition」で強化したブラウザも、モバイルWeb 2.0の離陸に役立ちそうだ。

 「PCでやっているのと同じことをマルチメディアコンピュータで実現する。このマルチメディアコンピュータこそ、本当のパーソナルコンピュータだ」(ウィグフォース氏)。

 ハードウェア面からみると、画面の品質はかなり改善されてきた。今後のNokiaの方針としては、「残る課題はやはり性能。使い勝手、ユーザーが容易に新しいサービスを利用できるよう工夫していく」とウィグフォース氏は説明した。

オペレーターがコンテンツアグリゲーターの役割も

 オペレーターでは、英・仏など欧州主要国で展開するOrangeが、ユーザー生成コンテンツの可能性について言及した。Orangeでは、IMや出会い系サービスなどのこれまでのコミュニケーションサービスに加え、オンラインアルバム、写真共有サービス、ユーザーの評価を取り入れた「Buff or Rough」、ブログなど、SNSの要素が強いサービスにも積極的に打って出ている。中でもオンラインアルバムの「Orange Photo Album」は、オペレーターが提供する写真サービスとしては英国初になるという。

 また、France Telecomという固定オペレーターを持つことを生かしたFMC戦略を強化。IPTV、固定サービスとの統合も進めているという。

 今後の課題は、収益モデルの確立だ。集まってくるオーディエンスとそこで生成されるコンテンツをどのように活用するか。ここでは、ユーザー(コンテンツにアクセス)、サードパーティ(オーディエンスにアクセス)、クリエーター(コンテンツのアップロード)などの収益チャネルが紹介され、柔軟性のある収益モデルを確立できれば、オペレーターはコンテンツアグリゲータという新しい役割を担うことができると予測している。

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