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» 2006年10月31日 10時28分 公開

MNP開始から1週間。“予想どおり”auは好調だが、注目は地方の動き 神尾寿の時事日想:

MNP開始から約1週間。序盤戦は予想通り「au好調」と言えそうだ。しかし都市部だけでなく、地方の動きにも注目すると、ドコモが善戦している。

[神尾寿,ITmedia]

 10月30日、KDDIがMNPの速報値を発表。同制度を利用して他のキャリアからauに転入したユーザーと、auから他のキャリアに転出したユーザーの数を明らかにした(10月30日の記事参照)。10月24日から29日までの6日間で、番号ポータビリティを利用してauに転入した契約の数は10万1200件と10万件。auから転出した契約の数は2万600件で、MNP利用者はトータルでは8万600件の純増となったという。

 一方、NTTドコモは「具体的な数値の公表予定はないが、全体的な傾向としては転入より転出が多い。ただしソフトバンクモバイルについては転出より転入が多い。今後903iシリーズが順次発売されるにつれて、転入が増えていくのではないか」(広報部)とコメントしている。

イメージの良さと9月の先行が有利に働いたau

 MNP開始初期のauの好調は、ここまで“予想どおり”と言うところだ。多くのアンケート調査結果が示したとおり、auはMNPにおける乗り換え先として人気が高く、一方で顧客満足度の高さから転出が少ない。KDDIは2001年以降、「auブランド」の構築に地道に取り組んできた。唐突感のある奇策に頼らず、実力を積み上げてきたauにとって、序盤戦の勝利はむしろ当然の結果と言えるだろう。

 また、MNP直前の動きも“au有利”に働いた。8月に新製品・新サービスを発表、9月には店頭準備を整えてMNPの事前予約獲得に注力したauに対して、ドコモとソフトバンクの動きが遅かった。“auキラー”であるドコモの903iシリーズはMNP開始直前の10月12日まで発表されず、MNPが開始された今も店頭に並ぶのは1機種のみ。一方、ソフトバンクモバイルは新端末の発表タイミングはよかったものの、インパクトを狙ってMNP開始にあわせて導入した「予想外割」など一連の新料金施策が、店頭や受付システムの混乱を招くという皮肉な結果になってしまっている(10月27日の記事参照)。ドコモやソフトバンクモバイルに見通しや詰めの甘さがあったことも事実だろう。

 今回のKDDIの集計期間では、ソフトバンクモバイルがMNP受付を停止するという予想外のハプニングがあったが(10月30日の記事参照)、それがなければauの転入がさらに増えていたことは想像に難くない。

地方ではドコモ善戦、ソフトバンクは低空飛行?

 しかしMNPが“auの圧勝ムード”かというと、そうとも言い切れない。確かに数字だけ見ればauは強いが、そもそもの稼働シェアの差や地方市場の動きを総合すると、ドコモも善戦しているようだ。特にドコモの稼働シェアが全国平均より高く、専売店販売比率の高い地域ほど、ドコモは善戦している。これらの地域は顧客の流動性がもともと低いので、MNPに注目が集まる今後半年間でauがどれだけ攻めきれるかが、同社にとってひとつの試金石になるだろう。

 またソフトバンクモバイルについては、「東京と違って、ほとんど注目されていない」(地方のドコモ販売店幹部)状況だという。むろん、「予想外割」などの訴求は全国的に行われているが、むしろ3Gエリアに対するユーザーの不安や、専売店の販売インフラがドコモ・auに比べて弱いことから、苦戦を強いられているようだ。今のところソフトバンクモバイルのインパクトは、「都市部・家電量販店」に偏った傾向があると言えそうだ。

 言うまでもないが、MNPは全国的に繰り広げられる総力戦である。東京や大阪といった大票田の動向はもちろん、「ドコモが強い」地方の状況に地殻変動が見られるかも、注目である。

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