流通・鉄道の連携で、FeliCa決済の普及が爆発的に広がる 神尾寿の時事日想:

» 2007年02月05日 15時42分 公開
[神尾寿,ITmedia]

 2月1日、関東のイオン系ショッピングセンターでJR東日本の電子マネー「Suica」とドコモのクレジット決済「iD」が導入されたことを記念して、イオン品川シーサイドショッピングセンターで記念式典が行われた(2月2日の記事参照)

 式にはNTTドコモ社長の中村維夫氏、JR東日本社長の清野智氏、イオン社長の岡田元也氏という、各分野ナンバーワン企業の社長が勢揃いしたほか、ドコモプロダクト&サービス本部長の辻村清行氏(2005年7月の記事参照)、同iD戦略担当部長の守屋学氏(2005年11月の記事参照)の姿も見られた。おサイフケータイ分野におけるキーパーソンがここまで顔を揃えるほど、今回イオンがiD/Suicaを導入することには大きな意味があるということだ。

JRの駅構内ではイオンSuicaカードの申し込み受付キャンペーンが行われていた

首都圏は「爆発的な広がり」になる

 これは昨年後半から見受けられていたが、首都圏におけるFeliCa決済は普及の分水嶺を超えて、爆発的な広がりを見せる直前にある。今後半年以内に、首都圏在住者のほぼ全員が、何らかのFeliCa決済を使うようになるだろう。今春のタイミングでイオンとセブン&アイがFeliCa決済を導入するのは、FeliCa決済がそこまで「身近なものになった」証左と言える。

 首都圏での普及に合わせて、異なるFeliCa決済同士の合従連衡、そして水面下での競争も激しくなりそうだ。首都圏の一般ユーザーへの展開を考えた場合、まず最初に利用されるのはSuicaとPASMOといった交通系のFeliCa決済だろう(特集参照)。これらは交通乗車券機能とセットになっているため、ユーザーは特に意識することなく利用経験を積んでいく。

 特に、これまでFeliCa決済の利用経験者が少なかった主婦層の取り込みに期待したいところだ。Suica/PASMOは、今回のイオングループでの導入はもちろん、JR東日本と私鉄各社はグループ内にデパートやスーパーマーケットを擁している。さらにJR東日本は出版事業として主婦向け生活雑誌「オレンジページ」も持っている(編注:ダイエーは経営再建計画の一環として、2001年に出版部門のオレンジページをJR東日本に売却した)。これらがコラボレーションすれば、通勤・通学者以外の層にもFeliCa決済が広げられるだろう。

 また、今回イオングループに採用されたiDも、ドコモのDCMXと連携した普及や、イオンカードへの採用などで、今後も順調に利用者を伸ばしていきそうだ。こちらはトルカなどおサイフケータイを活用した機能の展開も含め、今後の動向に注目していきたい。

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