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地道に進化するサービス「EZナビウォーク」の今――KDDI (2/3)

2007年02月13日 13時51分 更新

声de入力は受け入れられたか

 EZナビウォークは単なるGPSナビゲーションサービスの提供だけに留まらず、UIを中心に新機軸を多く導入していることでも知られている。例えば、KDDI研究所で開発された音声認識技術を導入した「声de入力」などは、他の携帯GPSナビゲーションには見られないユニークな付加価値だ(2006年1月の記事参照)。これらの利用率やユーザーの評価はどのようなものだろうか。

 「(声de入力の開始)当初は、声de入力の項目がメニュー上で少し分かりにくいというUI面の課題があって利用が伸び悩んでいたのですが、昨年11月にメニュー体系の改善を行ったところ、その直後から利用数が跳ね上がりました。全体の検索件数に対する音声認識の利用率は公開していませんが、操作体系の改善前と比べれば2桁くらい(利用数が)伸びています」(楠氏)

 auの実感としては、「音声認識のニーズはある」(楠氏)と手応えを感じており、今後も操作体系や機能の改良を進めていくという。音声認識はこれまで多くの企業やサービスが挫折してきた分野だけに、KDDIの取り組みは注目である。

ay_koe04.jpg 左から順に、「声で目的地検索」のメニュー画面/「日比谷のコンビニ」という検索の仕方の場合は「店名/施設名を探す」を選択/音声の特徴を抽出、サーバに問い合わせる間通信が発生する/「日比谷」が「入谷」になってしまった例。検索結果が正しくなかったら、キー入力で訂正するか、音声で再入力する

 一方で、現時点で苦戦している付加価値サービスもある。PCを使ったEZナビウォークの事前設定だ。

 「PCからの事前設定は、利用頻度で見ると少ないですね。まだまだ発展途上という認識です。事前に(ルートを)プランニングして使えるので、けっこう便利なサービスだと思うのですが。我々の訴求が足りないのかもしれません」(楠氏)

 PCからGPSナビゲーションのルート設定では、本田技研工業の「インターナビ」や日産自動車の「カーウイングス」など、クルマ向けのテレマティクスでは以前からサービスが始まっており、一定のニーズを得ている。しかし、これらカーナビ向けサービスと異なり、携帯GPSナビゲーション向けとしては、まだ受け入れられる段階に来ていないようだ。

 「EZナビウォークだとお客様との接点が『まずケータイ』ありきになってしまい、お客様の側でもサービスが携帯電話の中で完結してしまっている場合が多い。PC連携の利用率向上は検討課題ですね」(楠氏)

今後の取り組みは「周辺検索」と「コンテンツの充実」

 EZナビウォークのような携帯GPSナビゲーションは、まず特定の目的地へのルート案内に大きなニーズがある。だが、今後の発展性で重要になるのが、「今いる場所」のGPS位置情報を起点とする周辺検索サービスの充実だ。

 「現時点で申しますと、周辺施設検索の利用率は(目的地検索に比べて)高くありません。しかし、我々も周辺施設検索は今後重要だと考えていまして、UIの改良やコンテンツの充実に取り組んでいます」(楠氏)

 目的地を探すのではなく、ユーザーが今置かれた状況から周囲の情報を検索するという形に携帯GPSナビゲーションが発展すると、そのサービスの受け入れられ方はがらりと変わる。周辺検索は使い始めのきっかけとして目的地を必要としないので、より日常性の高い情報へのアクセス手段になり得るのだ。これは携帯GPSナビゲーションのユーザー層を広げることにも寄与する。

 また、周辺検索の利用促進と連携しつつ、「施設情報などコンテンツ側のクオリティ向上も重要」と楠氏は話す。「EZナビウォークを知っていても、(現時点では)自分の生活とどう関わりがあるか分からない、というお客様がいらっしゃいます。そこでお客様の生活シーンや利用モードに、どれだけサービスやコンテンツが寄り添えるか。ここが(EZナビウォークの)成長の鍵です。今後は様々なシーンやスタイルに合わせたコンテンツの充実が重要だと考えており、そういった情報すでに持っている企業と協業する準備を進めています」(楠氏)

 EZナビウォークなど携帯電話向けに限らず、これまでのGPSナビゲーションは「目的地まで案内する」ことが主目的であり、そのための施設情報しか持たなかった。例えば、「近くの安いスーパー」や「感じのいいカフェ」という探し方はできなかったのだ。しかし、携帯GPSナビゲーションの大きな可能性は、ここに存在している。

 「最近、リアル連携という言葉はよく聞きますが、位置情報とネット上のコンテンツをうまく結びつければ、リアル連携のキラーサービスになると考えています。Googleマップのように地図の上に様々な情報を載せていく、という方向性もすでに取り組み始めています」(楠氏)

[神尾寿,ITmedia]

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