BREWの特徴を生かしたビジネスアプリとは :BREW最新事情(4/4 ページ)
通信機能の自由度の高さ、高いセキュリティといったBREWのメリットを生かして開発されたビジネスアプリが増えてきた。なぜBREWを使うのか、具体的な例とともに示していこう。
携帯電話が健康と人命を守る「健診メディカくん」
最後に、ちょっと変わったBREWの利用例を紹介しよう。
今年6月、KDDIとメディカバンクは携帯電話向け健康診断データ配信システム「健診メディカくん」を発表した(プレスリリース)。これは医療機関に代わって、健康診断結果を携帯電話向けに配信するサービスで、過去10回の健康診断データ、グラフや数値による表示、医師の所見表示等を提供するというものである。例えば、かかりつけの医師に、会社で受診した健康診断結果を携帯電話画面で見せながら健康状態を相談するなど、いつでもどこでも身近に健康管理ができる。
このサービスに用いられているBREWアプリは、経年変化や基準値を視覚的に把握できる各種グラフの表示、拡大、スクロールを携帯電話の画面上で可能にするなど、日々の健康チェックで活用しやすい機能を実現している。また、将来的には、健康診断結果を携帯に置いておくことにより、不慮の事故や急病の場合に、この情報を利用することでより適切な治療が受けられるようになることも期待できる。
なお現在「健診メディカくん」の携帯側環境はBREWとJavaの双方をサポートしており、BREWアプリならではのメリットを活かしたといえる機能は特にない。しかし、このようなサービスにこそBREWの機能と能力がキーになるのではないかと筆者は考えている。
まず個人の健康診断結果は、非常に重要な個人情報であるため、その管理もまた重要なポイントになる。例えば、健康診断結果が保存された携帯電話を紛失した場合、BREWアプリのリモート機能によってデータを削除できれば安心である。加えて、一般に病院内部での携帯電話での通話や通信は歓迎されない。よって、病院に入る前にBREWアプリによってデータのダウンロードを済ませ、病院内部では各データをいろいろな角度から分析して画面に表示すると共に、表示中は一切の通信を遮断できればベストである。このような、オフライン時の操作性のよさは、BREWアプリの得意とするところだ。
「健診メディカくん」が少子高齢化と医療費増大にあえぐわが国を救うソリューションの1つになるためにも、BREWのメリットを活かした一層の機能アップを期待したい。
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平野正喜
プログラマ、システムエンジニアとして多くのIT資格を取得、資格教育やサイバーセキュリティを主とする技術者教育にも携わる。個人としては、オープンソースであるフリーソフトウェアを次々と開発・発表。
2002年からはフリーの講士、コンサルタントとなり、技術力、提案力、表現力のある次世代プロフェッショナルの育成に燃えている。
著書:ケータイビジネスを革新する技術BREW(ブリュー)―第三世代携帯電話の次を目指すクアルコムの戦略に迫る
BLOG:ランドッグ・オーグ平野正喜事務所
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