802.11nの行き詰まり打開を――新業界団体EWC結成
EWCは混合モードやマルチプレクスモードなどを取り入れた独自仕様を導入することで、IEEE 802.11n規格の承認を迅速化しようとしている。(IDG)
無線LAN機器の主要メーカー二十数社が、より高速な新しいWi-Fi標準策定の行き詰まりを打開するために業界団体を結成した。
10月10日に発表されたこの団体Enhanced Wireless Consortium(EWC)は、業界から広範に支持される独自仕様を導入することで、IEEE 802.11n規格の承認を迅速化したい考えだ。同団体にはAtheros Communications、Broadcom、Cisco Systems、Intelなど27社が加盟している。
「これら加盟企業は、IEEE標準化プロセスにおいて802.11nに関して合意に至ることができなかった2つの団体の断面を表している」とEWCに加盟するConexant Systemsの広報担当グウェン・カールソン氏。
ここ数カ月、2つの陣営が規格をめぐって激しく論争しており、IEEEが必要とする過半数の賛成に達することができなかった。
この2つの陣営はWWiSE(World-Side Spectrum Efficiency)とTGnSyncだ。
TWCメンバーは、IEEE Tack Group N内で引き続き802.11nに関して合意に至るために取り組んでいくとカールソン氏。
EWCの仕様は、ブランドやプラットフォーム(PC、携帯機器、ネットワーキングシステムなど)にまたがって次世代ワイヤレスの相互運用性を確保することで、ユーザーに恩恵をもたらすと同氏は言う。
802.11nが標準化されれば、Wi-Fiシステムのスループットは大幅に向上する。EWCの仕様は最高600Mbpsの転送速度を目指している。これに対し、今日の802.11aと802.11gはそれぞれ20Mbpsと54Mbpsだ。
EWCの仕様には、802.11a、b、gネットワークとの混合モード互換性、免許不要の2.4GHz/5GHz帯の使用(既存の802.11機器の周波数計画に一致する)、20MHz/40MHzチャンネルサポート、1〜4基のアンテナを使った同時通信のためのマルチプレクスモードなどほかにも多数の技術要素が含まれる。
この仕様には4×4 MIMO(マルチ入力、マルチ出力)技術もサポートするという。
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