MNPは予想より低い利用、新規契約が健闘──KDDI、小野寺社長
2006年、最後の定例会見を行ったKDDIの小野寺正社長。この1年の取り組みを振り返るとともに、Rev.A、MNPに関する今後の施策について説明した。
12月20日、KDDIの小野寺正社長が定例会見を行った。2006年最後の会見ということもあり、今年1年の取り組みを振り返りながら、同社の現状と今後の施策について説明した。
小野寺社長が移動体通信分野の大きなトピックとして挙げたのは、10月24日から始まった番号ポータビリティ(MNP)。開始に備えて「どこでもつながるネットワークを前提に、魅力的な端末や多彩なコンテンツ、安心して使える料金などを中心とした総合的なサービスの向上に注力した」(小野寺氏)という取り組みの結果、auはひとり勝ちともいえる好スタートを切っている。
これまでのMNPの推移について小野寺氏は、想定よりMNPの利用率が低いという印象を持つとともに、「(まったくの新規や電話番号が変わってもいいという)新規ユーザーの数が意外と健闘している」と分析。MNPについて新たな手をすぐ打たなければならないとは考えていないとした。「今の時点では(MNPがもたらした)市場の活性化を我々に有利に取り込むような方策を続けて検討したい」(同)
2007年の新規契約者数の見通しは、法人需要がどこまで出てくるかがポイントになると予想する。「最近、TCAの数字では通信モジュールの数が増えており、(TCAの数字には上がっていないながら)法人系の需要も増えている。こうしたものも含めたトータルの市場では、今年度と大きな差はないのではないかと考えている」(同)
法人利用では、個人の携帯を業務用としても使う時代から、“個人用と会社用を分ける時代”への変化が既に始まっていると見る。個人情報の漏洩などの懸念から端末のセキュリティ機能が重要視される中、個人利用の端末内に入っている顧客情報の管理も会社の責任になりかねないというのがその理由だ。
現状の法人利用で主流となっているのは、業務用アプリを携帯の中に取り込んで業務の効率化を図ったり、新規事業に生かしたりするというものだが(12月12日の記事参照)、こうした利用の裾野が広がれば今年度並みの数字が出るとした。
Rev.Aは、WINと同程度のスピードで全国展開
小野寺氏は、対応端末となる「W47T」の発売と同時にサービスを開始した、2GHz帯を利用する「CDMA2000 1x EV-DO Rev.A」のロードマップについても言及した。
既に2006年度末までに全国の政令指定都市をカバーし、2009年度中の全国展開を目指すとしているが(8月22日の記事参照)、エリア展開のスピードはRev.0(WIN)と同程度で進める計画だという。
Rev.A最大の特徴は、基地局のシステムとしてRev.0に対応する通信モードがある点だと小野寺氏。KDDIでは2006年の夏前から800MHzと2GHzのデュアルバンド端末をリリースしており、Rev.Aのサービスエリア内では「Rev.Aのシステムを使って通信しているRev.0のWIN端末も当然ある」という。これによりRev.0への設備投資の必要がなくなり、「将来はシステム的にRev.Aに巻き取る」とした。
周波数帯再編の準備としては、2GHz(対応の基地局を)設置し始めているとし、問題は「(ドコモのムーバが利用しており、使用期限が2012年の)新しい800MHz帯をいつから使えるようになるのか」だと話す(5月26日の記事参照)。ドコモと協議しながら順次導入を進める計画で、具体的な時期については「実際のサービス開始は再来年度になるかもしれないが、来年度の後半くらいをめどに新たな周波数を使い始める予定」という見通しを示した。
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