Living Plus Weekly Top10(6月1日〜6月7日)
現在の制度では、CATV事業者が難視聴地域に対して地上デジタル放送を提供する“義務”はないのだという。というのも、難視聴地域の救済事業が始まった当時、将来のデジタル化など考慮されていなかったからだ。しかし、提供しないわけにはいかない事情もある
先週のトップは、地上デジタル放送関連の記事。記事中でも触れたが、難視聴地域に向けた地上デジタル放送の再送信は、CATV事業者にとって頭の痛い問題のようだ。2011年にアナログ放送がなくなってしまう以上、いずれは移行しなければならない。しかし、そのコストを誰が負担するのか、明確な指針が存在しない中途半端な状態になっている。 実は、現在の制度ではCATV事業者が難視聴地域に対して地上デジタル放送を提供する“義務”はないという。というのも、難視聴地域の救済事業が始まった当時、将来のデジタル化など考慮されていなかったから。しかし一方で「“道義上”、提供しないわけにはいかない」(スターキャット・ケーブルネットワーク)のも確かだ。 そのスターキャットでは、12月の地上デジタル放送開始にあわせ、同時か、あまり遅くならないタイミングで地上デジタル放送の再送信を開始するという。同社の場合、サービスエリアはすべてデジタル波が(本来なら)届く範囲にあるため、「区域外再送信」という問題は生じない。そこで、多チャンネル放送の契約世帯には“トランスモジュレーション”、また難視聴地域のユーザーに向けては“パススルー”方式で、全サービスエリアに対して地上デジタル放送を届ける予定だ。 パススルーは、地上放送のOFDMや衛星放送のPSKといった変調方式を変えず、そのままの周波数で再送信する方式。セットトップボックスを使わず、ユーザーは通常のTV用アンテナで受信するのと同じ感覚で地上デジタル放送を視聴できる。一方のトランスモジュレーションは、周波数や変調方式をCATV向けに変換して伝送効率を上げる方式で、多チャンネル放送サービスはこちらが前提となる。 おそらく、スターキャットの利用者はラッキーな部類に入るだろう。地上デジタル放送のサービスエリアが拡大されるに従い、中には設備投資が追いつかない事業者が現れる可能性もある。そして今のところ、それをバックアップできる体制はないのだ。 あるCATV事業者は、個人的な意見と断ったうえでこう語った。「考えてほしい。1800億円をかけるアナ・アナ変換は、8年後(2011年のアナログ停波)には確実に使えなくなる。お金をかける場所をもう一度考えたほうがいいのではないか?」 [芹澤隆徳,ITmedia] ![]() モバイルショップ
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