リビング+:ニュース 2003/09/26 19:29:00 更新

レポート
ネット家電のある生活を体験してきました (2/2)


 日立によると、洗濯機は「ユーザーの問い合わせがもっとも多い家電」だという。その内容はさまざまだが、一言でいうと「もっとコースがほしい」。通常、家庭向けの6キロタイプ(洗濯・脱水容量)洗濯機は、水の量や水流の強さなどで「念入り」「ソフト」「ふとん」「つけおき」「強力」「のりずけ」など10個前後のコースがある。しかし、洗濯のプロフェッショナルである主婦には少々物足りないようだ。

 一方、メーカーとしてもコースを増やしたいのはやまやまだが、洗濯機に搭載されるメモリ容量の都合でなかなか実現しないのが実状。「商品に搭載されているのは、人気のあるコースのうち、上位10個に過ぎない」(同社)という。

 そこで、洗濯機側にコース一つ分のメモリ空き容量をあらかじめ確保しておき、上位10コースからもれた“次点”のコースをいくつかピックアップ、オンラインサービスで公開する計画だ。つまり、ユーザーは使いたいコースをWebブラウザの上でチョイスし、PCと情報コントローラを介して洗濯機に“ダウンロード”する。

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“次点”のコースをオンラインサービスで公開

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ダウンロードしたコースデータを洗濯乾燥機に転送

 一度ダウンロードしたコースはPCに保存されるため、必要に応じて洗濯機のメモリを書き換えることもできる。それをリモコンやコントローラのボタンに割り当てておけば、コースはワンタッチで切り替え可能だ。

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ワンタッチボタンにコースを登録する

 これは同時に、PCと同じように洗濯機を環境に合わせてアップグレードできることにもつながる。つまり、将来、まったく新しい素材の衣服が登場しても、対応するコースが公開されれば洗濯できるようになるわけだ。「買い換えサイクルの長い白物家電だが、不足する機能をソフトウェアで補う。そんな仕組みをネットワークが提供する」(日立)。

 同じことはオーブンレンジにもいえる。まず、既に用意されている130種のレシピをPCのWebブラウザで参照。献立が決まったら、アプリケーションをレンジにダウンロードすればいい。たとえ新しい冷凍食品などが登場したときも、対応ソフトが提供されていれば最適な解凍/調理が可能だ。

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ネット対応オーブンレンジ

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レシピは現在130種。今後も増やしていく方針だ

 もっとも、ここまでなら東芝のFEMINITYシリーズでも同様の機能が提供されている。だが日立は、さらにマニアックな機能も用意する予定だ。たとえば、「専用ソフトの上では、洗濯機の水量や洗濯時間を細かく設定し、“オリジナルコース”を作成できる」。

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オリジナルコースの製作画面。自作コースを登録すれば、それはアナタだけの洗濯機。インターネットで洗濯機のコースデータが交換される日も近い?

故障診断機能

 もう1つ、“メーカーならでは”のオンラインサービスといえるのが「故障診断機能」だ。家電が故障したとき、例えば液晶ディスプレイを持つ洗濯機などは、エラー番号を表示する。それをマニュアルに照らし合わせたり、あるいはサポートセンターに告げて対処方法を聞くのが一般的だ。

 しかし、家電製品のマニュアルはなくしてしまうことも多い。このため、専用ソフト内に“故障データベース”を内蔵し、家電が発したエラー情報をネットワーク経由で取得する機能を持たせる。エラー発生時には、コントローラに赤いLEDが灯り、同時にPC画面にダイアログを表示。エラー番号はPC上で自動的に解析され、原因や対処法を読むことができる。

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赤いLEDはエラーのサイン

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エラー発生時にPCの画面に表示されるダイアログ。消耗品の交換時期だった場合は、直販サイト「ホラソ.com」に注文できる

 もちろん、操作ミスなどは別にして、本格的な故障の場合はサポートセンターへ連絡することになる。専用ソフトはサービスセンターの電話番号を表示するとともに、メールを発信する機能も持っており、その際、故障した家電の機種や製造番号、エラー番号などは自動的に書き込まれるという。いちいち型番やエラー番号をメモする必要もない。

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機種や製造番号、エラー番号などは自動的に書き込まれる

生活リズム機能で“見守り”サービスも

 最後は「生活リズム機能」だ。これは、冷蔵庫のドアが開く、洗濯機を動かすなどのイベントが発生するとセンター側で記録しておき、ユーザーがPCの画面で履歴を一覧できるというもの。一週間単位で表示すれば、家の中にある家電の動作状況がよくわかる。

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動作状況のレポート

 もっとも、この履歴はメーカー側が明確な目的を持って取得しているわけではない。「センター側で何かをすることはない」(日立)というように、データの活かし方はユーザー次第だ。例えば、家族で省エネについて考えるとき、夜中に冷蔵庫をあさるお父さんを叱るとき、さまざまな場面で利用されると加藤氏は予想する。

 「人の手で記録するのは大変な作業だし、また記録しようと考える人も少ないだろう。しかし、大変な作業をネットワークが代行すれば自動的に情報は蓄積され、それを一覧して初めて分かることもある。情報に価値を持たせるのが狙いだ」

 一方、明確なメリットもある。ネットワークにつながることで、遠隔地に住む家族でも情報を取得できるため、家電の動作状況で安否を確認できるのだ。象印マホービンの「みまもりほっとライン」と同様のアプローチといえるが、さらに設定した時間内に家電が一度も動作しなかった場合、携帯メールなどでユーザーに報せる機能もある。時間は、24時間から96時間まで任意に設定可能だ。

気になる値段は?

 前述のように、日立製作所では2003年末から年度末にかけてネット家電を順次市場投入する。そのラインアップは、明らかにされているものだけでも6種類。洗濯乾燥機、冷蔵庫、オーブンレンジ、エアコン、照明器具、ヒートポンプ式給湯器、センサーが挙げられている。あわせて、オンラインの生活サポートサービスも「今年末から年度末までに事業化したい」。

 ネット対応家電の価格は、“同クラスの従来製品+α”程度になる見込みだ。これは、エコーネット通信モジュールの値段が上乗せされるため。「モジュールは数百円レベルなどと言われているが、実際はまだそこまで安くなってはいない」(加藤氏)という。ただし、モジュール価格が下がれば、積極的にほかの製品にも実装していく構えだ。電気スタンドなど、低価格商品もネット対応になる可能性は十分にあるとしている。

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エコーネットの特定小電力無線モジュール

 同時に他業界のメーカーなど、パートナーを幅広く募る。「たとえば住設機器メーカーやブラインドメーカー、ITマンションを推進する不動産会社などが挙げられるだろう」。まだ公表できるパートナーはないというが、実際多くの企業がこのデモルームを訪ねているようだ。

デファクトスタンダードを狙う

 ただし、ユーザーとして気になるのは、他の家電メーカーの動向だ。家電を特定メーカーの製品で統一している家庭は少ない。規格が乱立した場合、ネット家電そのものが敬遠される可能性もある。加藤氏は「まずはデファクトスタンダードを作ることが大事だ」と話す。

 日立と松下が手を組み、デファクトスタンダードを狙っているのは周知の通り。だが、他社の状況は不透明だ。同じエコーネットでも、東芝は無線部分にBluetoothを使っており、三菱電機はエコーネットを検討しながらも、半導体事業ではSCP(Simple Control Protocol)用コントローラを製造している。そのほか、三洋電機、シャープなど動きが見えないメーカーも複数ある。

 ただし、加藤氏は「他社の状況は分からない」と前置きしながら、「既に東芝や三洋電機の担当者も、このデモルームを見に来ている」と話していた。表面的には動きが見えないが、家電各社が日立&松下の動きを注視していることは確かなようだ。

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▼日立製作所

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[芹澤隆徳,ITmedia]



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