「イケメンや美人は出世しやすい」は本当か世界を読み解くニュース・サロン(3/4 ページ)

» 2015年12月17日 08時00分 公開
[山田敏弘ITmedia]

自分たちの利益になるような人選

 この研究によれば、男性は「イケメン=仕事ができる」と見る傾向があり、イケメンを脅威に感じるらしい。例えば出世争いのある職場で、採用試験の際に、採用担当者が男性であなたがイケメンならば、採用されにくい傾向があるという。会社内でも、あなたがイケメンならば、重要な仕事を与えられないし、出世の後押しもしてもらえない。同僚も脅威に感じるという。

 この調査は870人のボランティアを使い、さまざまな設定の下で、何人かの候補者を特定の仕事に振り分けるという実験などを行って進められた。候補者らには学歴や資格、経験などを記した履歴書・職務経歴書を用意し、その上で写真も添付した。ちなみに、日本と違い米国などでは履歴書に写真を貼るのは一般的でない。

 この研究からはこんな教訓も導き出されている。例えば、部長レベルの選別者たちは会社に必要な人材よりも、自分たちの利益になるような人を選ぶ傾向があった。つまり、会社にとって価値があるかどうかを優先していないのである。

 これは考えようによっては、社内の人間に採用試験をさせるのは得策ではないということだとも言える。会社のことを考えるなら、採用には第三者的な存在が必要になるということかもしれない。それが客観的に能力と適性で人を雇うには大事ということなのだ。

 ただこの調査によれば、意外なことに女性の場合はこの結果が当てはまらないという。女性同士の間では、美人に対して、将来的に仕事の脅威になるという見方をしない。女性は「美人=仕事ができる」と考えないことが分かったという。

 もちろんこれがどこまで現実に当てはまるのかは分からない。また欧米の調査なので、日本とは多少状況が違うかもしれない。だが世界どこにいっても人間は根本的には変わらないし、多かれ少なかれ、日本にも当てはまるところはあるのではないだろうか。

男性は「イケメン=仕事ができる」と見る傾向があるが、女性は「美人=仕事ができる」と考えないようだ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.