東電が家庭契約のシェア2割を失っても痛くない理由電力自由化でどうなる(2/3 ページ)

» 2016年01月28日 07時00分 公開
[大河原克行ITmedia]

ほとんどの家庭は従来と変わらない

 こうした中、東京電力や北陸電力などでは2016年6月1日から低圧電力を値上げする方針を打ち出した。地球温暖化対策税の税率引上げによる燃料価格の上昇分を、電力量料金に反映させるのが値上げの理由だが、電力自由化のスタート直後の値上げは痛手になりかねないとの見方も一部にはある。

 東京電力を例に取れば、国内全体の35%を占める最大市場エリアにおいて100%のシェアを獲得していた状況から、一気に激戦区となり、競合との攻防戦は避けられない。いかに守りを強固にするのかが鍵となるだろう。それでなくても、自由化になることで、今後数年で2〜3割の市場シェアを失う可能性があるとの指摘も出ているほどだ。

 だが、現時点での料金プランを見ると、守りを固めるには弱さも感じられる。

 実際、新たな料金プランでは、ほとんどの家庭が契約している月平均使用量が300kWh未満の「従量電灯B・C」の場合、従来の料金と変わらない仕組みとなっている。ポイントサービスなどを加えるとお得だが、電気料金の単価だけを比較すると、現在の契約をそのまま継続した方が得になる場合もあるほどだ。一方で、400kWhまでを定額料金とし、401kWh以上は単価が割安になる「プレミアムプラン」は、キャンペーン適用で2年契約した場合に5%割引になるという手厚い内容になっている。

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