「お酒を飲んだ後の締めはラーメンでしょ」。
いつのころからか市民権を得たこの言葉の通り、深夜の繁華街では酔った男性客が店のカウンターに肩を寄せ合って並び、ラーメンをすする姿を目にしたことがある人は多いはずだ。あるいは、自分自身がそうだという人もいるだろう。
もちろんラーメンが好まれるのは深夜だけではない。人気のラーメン屋では平日の昼間でも大行列ができるほど、多くの人たちが一杯のラーメンを求めて長時間並ぶ。いまやラーメンは日本の国民食といっても過言ではない。
現在、ラーメン屋は全国に3万店舗以上あると言われており、1年間で3600店舗ほどが新たに開業している。「そうするとラーメン屋の数は年々増え続けているの?」という疑問を抱くはずだろう。しかし実は、新規出店と同じ数だけ毎年閉店に追い込まれているのだ。
飲食業界の情報サイト「飲食店.COM」の調査によると、新規出店したラーメン屋の4割以上が1年以内に、7割以上が3年以内に閉店するという。数ある外食ジャンルの中でもラーメンは激戦市場で、日々し烈な競争が繰り広げられているのだ。
そうした中、31年前に福岡で産声を上げた1軒のラーメン屋が、いまや全国展開にとどまらず、海外数カ国にも出店するなど成長している。大手ラーメンチェーンの「博多 一風堂」である。
一風堂は2016年4月6日現在、国内で96店舗(「IPPUDO EXPRESS」「SHIROMARU BASE」含む)、海外は11カ国で50店舗以上を構え、全店合わせて1日あたり5万人以上が来店する。運営会社である力の源カンパニーグループの2015年度売上高は、前年度比44%増の約178億円で、長らく増収を続けている。2020年までに一風堂の海外店舗数を200に増やす計画を打ち出すなど、その勢いをますます強めようとしているのだ。
世の中に星の数ほどラーメン屋がある中で、なぜ一風堂は売れ続けているのだろうか。その秘密は創業のコンセプトにあった。
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