公私を問わず、インターネットでの「炎上」が目につきやすくなっている。
企業の広報活動では、5月にはHISの「東大美女が隣に座ってくれる」キャンペーンと、プロトコーポレーション、ネットプロテクションズ、ヴィックスコミュニケーション、アイ・エム・ジェイが共同で開催した「美しすぎず、ちょうどいい感じの美人な人事担当者がいる4社合同説明会」が、そろって批判を浴び中止となった。
企業PRのために予算を割いて実施したにもかかわらず、結果的に企業ブランドイメージを損ね、企画自体も中止となってしまう――。このような「悲劇」は既に珍しいことではない。
プライベートな場でも、「恋愛論」や「育児論」などのトピックでは毎日のように炎が上がっている。「デートで男性がおごってくれないと恋が冷める」「夜ご飯を作らない妻はダメ」「父親は育児に参加しなくても女は強いから大丈夫」といった発言が批判を集めているのを見たことが一度はあるだろう。
どうしてこのような炎上が発生するのか? それは、制作側や発言者が意識していない差別や偏見が、言葉や企画という形で世の中に発信されてしまうからだ。その「無防備な炎上」を防ぐために必要なもの――それが「ポリティカル・コレクトネス(PC/以下、ポリコレ)」だ。
ポリコレとは、差別や偏見に基づいた表現や認識を、中立的な表現や用語を用いて「政治的に妥当なもの」に是正することを指す。言葉の問題にとどまらず、社会から偏見・差別をなくすことを意味する場合もある。米国では1980年代ごろから多用された言葉で、日本でも90年代からこの考え方が見られるようになった。「看護婦・看護士」を「看護師」と改めたことなどは、ポリコレが行われた具体例だ。
とはいえ、いざポリコレといわれても、何に気を付けていいのか分からない……。そんな場合に重要な指標となるのが、法務省が出している啓発冊子「人権の擁護」だ。日本の人権擁護の取り組みをまとめた冊子だが、序盤で紹介される「主な人権課題」が参考になる。
2015年7月に発行された最新版では、日本の主な人権課題が17項目挙げられている。17の項目の中でも特に炎上の火種になりやすいのは、「女性」「外国人」「性的指向・性同一性障がい者」だろうか。詳しく見ていこう。
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