BSスカパー!が、大人気漫画「弱虫ペダル」の“実写化”でこだわったことドラマ「弱虫ペダル」製作会見レポート(1/2 ページ)

» 2016年07月05日 19時48分 公開
[青柳美帆子ITmedia]

 人気漫画の実写版となる、連続ドラマ「弱虫ペダル」が、8月26日からBSスカパー!で放映される。原作の人気が高い作品の場合、実写化にはファンからの拒否反応が強いこともあるが、スカパー!によるドラマはファンからの評価も高い。女性ファンも多い「弱虫ペダル」のドラマ化でこだわったこととは?

 毎週金曜日、午後9時からの1時間ドラマで、全7話の予定。7月5日には、キャスト陣と監督が作品を語る記者会見が都内で開かれた。

8月26日からBSスカパー!で放映される実写ドラマ「弱虫ペダル」。制作会見が7月5日に行われた

 ドラマの原作は漫画「弱虫ペダル」(作・渡辺航、週刊少年チャンピオン連載)。自転車ロードレースに青春をかける男子高校生を描いた人気漫画だ。現在単行本は45巻まで発売されており、累計発行部数は1500万部を突破。『弱虫ペダル』をきっかけに自転車を本格的に始める子どもや女性が増え、「自転車ブーム」のけん引役となった。

 BSスカパー!は、14年から「地上波にはできない番組づくり」をモットーに番組編成を強化。オリジナルバラエティーやドラマの制作に力を入れた。その一環として、「アカギ〜闇に降り立った天才〜」(原作・福本伸行)「ひぐらしのなく頃に」(原作・竜騎士07)など、漫画やゲームをもとにした実写ドラマを次々と制作している。

 “2次元”(漫画)を“3次元”にする実写化は、原作が愛されていれば愛されているほど、ファンから失望の声が上がることが多い。しかしスカパー!の実写化は、「アカギ」では主人公「赤木しげる」に本郷奏多を、「ひぐらし」には主要キャストにNGT48のアイドルを起用し、それぞれ原作ファンからも支持を得ている、珍しい“成功例”なのだ。

“2.5次元”キャストがそろって出演

 「弱虫ペダル」実写ドラマ化にあたっても、スカパー!はキャスティングに力を入れた。本作はもともとメディアミックスを積極的に行っている。小説やスピンオフ漫画、テレビアニメに劇場版アニメ……そして特徴的なのは「舞台」での展開だ。

 舞台「弱虫ペダル」(通称「ペダステ」)は12年に始まり、キャストを入れ替えつつ計8本の公演を行っている。チケットは毎公演完売、ソフト化もされた。こうした2次元作品の舞台やミュージカルのことを「2.5次元」と呼び、ぴあ総研の調べによれば15年には市場規模が100億円を超えたといわれている。

 ドラマは、舞台版に出演していたキャストや、2.5次元舞台で活躍しているキャストを多数起用しているのだ。

 「『弱虫ペダル』は大人気漫画を原作にしているうえに、アニメや舞台も大成功している。“3番手”として、責任は大きい。いいドラマを作っていくためにも、3次元にコンバートするためにも、2.5次元のキャストの力をお借りしたい」(長内敦プロデューサー)

 主人公の小野田坂道を演じるのは、舞台版2公演で同役を務めた小越勇輝。小越は2.5次元舞台ブームのはしりとなったミュージカル「テニスの王子様」(通称「テニミュ」)セカンドシーズンでも主人公の越前リョーマを演じ、通算500回にわたって出演して「プリンス・オブ・テニミュ」と称された。

小野田坂道を演じる小越勇輝

 他にも、今泉俊輔役の木村達成は「テニミュ」セカンドシーズンや舞台「ハイキュー!!」に、鳴子章吉役の深澤大河は舞台「ダイヤのA」に出演――と、根強い人気と実力をもつ“2.5次元俳優”がそろっている。さらに舞台版でおなじみのキャストが出演となれば、ファンの期待は高まる。

 舞台版では、ロードバイクの“ハンドルだけ”を用いてロードレースシーンを演出していた。……と聞くと、「オモシロ要素の強い舞台なのか?」と思うかもしれないが、だんだん本当に自転車で走っているように見えてくるのが舞台の面白いところだ。

YouTubeで公開されている舞台版の映像。このようにハンドルを用いて演出する
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