述べてきたように、「ブランド」とは識別性や差別化といった他との比較ではなく、どこまでも自分たちの内側にある“独自性”に目を向け、これを発見し、磨きあげていく挑戦の中で育てていくものです。そして、繰り返しますが、それはマーケットの中で“競争に勝つため”にあるのではなく“人を幸せにする”“社会を幸せにする”ためにあるものだと私は思います。
単に自己主張するとか、売れるために立派そうに見せるとか、高級なイメージを与えるといったことではなく、自分たちと世の中とが相互に“幸せな関係”になっていくところに「ブランド」の本質があるのです。つまり「ブランディング」というのは、この“幸せな関係づくり”だということができます。
これを図式にすると、下図のようになります。独自性を磨きあげていくという視点と発想に立てば、「ブランド化」はさまざまなことがらに応用し実現させていくことが可能です。
企業そのものをブランドとして育てることはもちろん、個別の商品・サービスやラインアップのブランド化も可能ですし、近年では地域や国家のブランド化に取り組む例もあります。特定の社内セクションをブランド化することも可能です。
また、伝統技能やアーティストなど個人がブランディングの対象となる場合もあります。ビジネスの場面だけに限らず、例えば「就活」や「婚活」などもある種の個人におけるブランド作りが必要なときかもしれません。
図の中では「私」と「私」も“幸せな関係”として線で結ばれていますが、自分と自分自身とが“幸せ”な関係になるということは、じつはとても大事なことです。自分自身のことが好きになれなかったり評価できない人が、外なる世界と“幸せな関係”を築けるはずもないからです。本来あるべき自分と今の自分を幸せな関係にしていく。
少し難しい話に聞こえるかもしれませんが、それが本来の“パーソナルブランディング”と言えるのではないでしょうか。
(つづく)
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