クールジャパンで日本は何を輸出するのか。この質問に対して、多くの人は「既存の日本文化」を挙げるだろう。特に、マンガやアニメというコンテンツは「日本製が強い」と思い込んでいる人も目立つ。しかし、篠原氏の話を聞く限り、必ずしもそうではないようだ。
日本のサブカルチャー文化は浸透していて、既に優位ではない。ということは、これからサブカルチャー文化を輸出することは遅いのだろうか。「いや、そんなことはないと思う」と篠原氏は否定する。「『数十年後、インドネシア経済は日本を抜く』と言われています。だから、いま私たちが手掛けている事情は、必ずしも手遅れだとは思いません」。漫画というコンテンツでは参入は遅かったのかもしれないが、電子書籍化した漫画の配信サービス、そして電子書籍を利用するユーザーの育成という点では、決して遅くないということなのだ。
篠原氏の発言を聞いて、このような疑問を感じる人がいるかもしれない。「数十年後、インドネシア経済は日本を抜くらしいけれど、それまでこのビジネスを続けるの?」と。現状、購入者が少ない中で、eBookJapanがどこまでこのビジネスを続けるのかは分からない。ただ、このまま何も手を打たなければ、今後も経済発展が見込まれるジャカルタ市場で、競合他社が参入する可能性が高い。グローバルに名前が知れ渡っている企業が参入したあとに、「日本の漫画はいかがですか?」とアクションを起こしても、“時すでに遅し”になるかもしれないのだ。
未来のチャンスを逃さないために、このタイミングで参入することで、競合他社をけん制しているのではないだろうか。今後の動向に注目である。
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