インドネシアで日本の電子コミックは普及するのか甲斐寿憲のキニナルモバイル(4/4 ページ)

» 2016年09月05日 06時56分 公開
[甲斐寿憲ITmedia]
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インドネシアの人が電子書籍を読む日

eBookJapan海外事業部プロデューサー・篠原義英氏

 クールジャパンで日本は何を輸出するのか。この質問に対して、多くの人は「既存の日本文化」を挙げるだろう。特に、マンガやアニメというコンテンツは「日本製が強い」と思い込んでいる人も目立つ。しかし、篠原氏の話を聞く限り、必ずしもそうではないようだ。

 日本のサブカルチャー文化は浸透していて、既に優位ではない。ということは、これからサブカルチャー文化を輸出することは遅いのだろうか。「いや、そんなことはないと思う」と篠原氏は否定する。「『数十年後、インドネシア経済は日本を抜く』と言われています。だから、いま私たちが手掛けている事情は、必ずしも手遅れだとは思いません」。漫画というコンテンツでは参入は遅かったのかもしれないが、電子書籍化した漫画の配信サービス、そして電子書籍を利用するユーザーの育成という点では、決して遅くないということなのだ。

 篠原氏の発言を聞いて、このような疑問を感じる人がいるかもしれない。「数十年後、インドネシア経済は日本を抜くらしいけれど、それまでこのビジネスを続けるの?」と。現状、購入者が少ない中で、eBookJapanがどこまでこのビジネスを続けるのかは分からない。ただ、このまま何も手を打たなければ、今後も経済発展が見込まれるジャカルタ市場で、競合他社が参入する可能性が高い。グローバルに名前が知れ渡っている企業が参入したあとに、「日本の漫画はいかがですか?」とアクションを起こしても、“時すでに遅し”になるかもしれないのだ。

 未来のチャンスを逃さないために、このタイミングで参入することで、競合他社をけん制しているのではないだろうか。今後の動向に注目である。

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