インタビュー
» 2016年09月28日 08時45分 公開

マイク片手に「出発進行!」 異色の「鉄道カラオケ」が業界大手から生まれたワケ (3/3)

[青柳美帆子,ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

企画を通すポイントは“誰が見ても面白さが分かる”

 鉄道カラオケの利用者の反応は――というと、再生数は同時期に配信した楽曲の中でも上位に入る“好成績”。特に第1弾の京急は反応がよいのだという。最繁忙期に当たる年末にリリースはできなかったが、京急が出したプレスリリースや、鉄道好きも集まる「ニコニコ超会議」での告知が効果的で、ピンポイントにターゲット層に周知することに成功した。

 当初目標に掲げていた「カラオケに来ない層を呼び寄せる」ことに成功したのか――というと、それはまだ分析中。カラオケの仕組み上、「最近来ていなかった・足が遠のいていた人」や、「鉄道カラオケを歌っている人の年齢」などの具体的な数字を計測するのは難しい。

 「ただ、TwitterなどのSNSを見ると、普段カラオケの話題を出していないようなユーザーにも届いている印象があります」

 まだトライアル期間ではあるが、好調な鉄道カラオケ。それにしても、ここまでのピンポイントでニッチな企画、社内での反対はなかったのだろうか。

 「社内では『ニッチだなー!』という反応はありましたが、『だからダメ』ではなく『、可能性があるのであれば、挑戦してみよう』という感じでした。ただ、企画の説明は『誰が見ても、面白さが分かる』を意識していましたね」

 鉄道カラオケは今までにないコンテンツのため、言葉で説明しても分かりにくい。それを伝えるために、自分で映像を編集しテロップを付けたデモを作成してプレゼンした。

ALT 「鉄道カラオケ」というアイデアだけではなく、実際にどういうものなのかを作ってみるのが重要

 「企画を考える側は熱い思いがあるので、“思い中心”のプレゼンになりがち。でもそうした賭ける思いよりも、“どういったものになるのか”をきちんと説明することが重要。そのためには、体感できるプロトタイプを作るのが一番強いんです」

 世代やリテラシーや“常識”が異なると、いくら仕様書や企画書を分厚くしても、響かない可能性が高い。しかし、実際に触れるデモやムックを用意すれば面白さが伝わる――と伊藤さんは言う。

 若手が企画プレゼンの際に意識したほうがいいことについて、さらに聞いてみた。

 「『取りあえずお試しでやってみましょう!』と企画提案する人が多い。でも、全部仮説状態で提案する前に、やれることはもっといっぱいあるはず」

 ユーザーのニーズについての仮説も「ネットで話題になっています」では弱い。自社サービスや自社ログから分析したデータを使って、「自社ユーザーにこれだけのニーズがある!」ということが分かるようなデータを出すことで、ぐっと企画が通りやすくなると伊藤さんはアドバイスする。

 「それから、新規サービスやコンテンツの立ち上げにはリスクが伴います。なんでも新しく“お試し”で立ち上げるのではなく『既存コンテンツの活用で可能ではないか』という視点を持ち、会社にとってのギャンブル性を減らした提案ができるといいですね」

 鉄道カラオケでは、配信するコンテンツを減らす“スモールスタート”と、ロイヤリティー(使用料)などを調整することで、金銭的な面でのリスクを抑えたのだという。

 「鉄道カラオケのような新しいコンテンツを通して、もっと多くのお客様にカラオケの楽しさを知ってもらえるようにJOYSOUNDの魅力・楽しみ方をしっかりと伝えて、カラオケマーケット全体を盛り上げて行きたい。鉄道カラオケは、最初抵抗があるかもしれない。でも、歌っているうちにみなさんノリノリになってきます。ちょっと変なカラオケをカンフル剤のように使って、新しい楽しみ方を見つけていただければ」

 今後は、第1弾・第2弾の反響を見ながら展開していく。

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセスランキング
  • 本日
  • 週間