『こち亀』の舞台になった「亀有駅」は、どんな特徴があるのか新連載・○○駅の拠点力(亀有編)(1/4 ページ)

» 2016年10月04日 07時28分 公開
[小林拓矢ITmedia]

連載「○○駅の拠点力」:

 駅は拠点である。新宿駅や東京駅などの大きな駅が拠点となっていることは多くの人が感じているだろう。しかし、そうではない住宅地の駅の中にも、交通の結節点や地域の中心となり、拠点性を持っている駅がある。この連載では、東京周辺のそういった駅を取り上げ、どんなところなのか、なぜ拠点として重要なのかを論じたい。


 1976年から連載を開始し、9月に連載を終えた『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(週刊少年ジャンプで連載、以下:こち亀)。ところで、その舞台となった亀有という駅、そして街は、どんなところなのか。現地に足を運んだ。

シンプルな亀有駅

漫画『こち亀』の舞台になった亀有駅は、1日に4万1058人の人が乗車する

 亀有駅は1面2線、常磐緩行線だけが停車するシンプルな構造の駅である。ホームで列車を待っていると、快速線では列車が猛スピードで走っていくのが見える。そんなとき、ちょっとむなしい気分になってしまう人もいるかもしれない。

 亀有駅は、駅直結の華やかな商業施設があるわけでもない。地上に出れば、ふつうの路線バスのターミナルがある。純然たる、暮らす人のための駅だ。

 亀有駅は、1日に4万1058人の人が乗車する。都心に近いわりに家賃も安いという利便性もあってか、一進一退はあれど、少しずつ乗客は増え続けている。

 千葉県の我孫子、柏、松戸方面からやってきた列車に人々を乗せ、綾瀬から東京メトロ千代田線に乗り入れて都心へと向かう。列車自体は、小田急線に乗り入れるものもある。

 小田急線から、あるいは東京メトロの始発駅・代々木上原からやってきた千代田線の列車は、綾瀬あたりから少しずつ人を下ろしていく。亀有も、多く降りる駅の1つだ。

 駅としての華やかさもなければ、鉄道網上の重要性もない。だが、そういった駅だからこそ、暮らすのに必要なものは、一通りある。

 なお、綾瀬駅から東京メトロになり、人によっては北千住で常磐快速線に乗り換えるのはどうしたものかと思う人もいるだろう。この場合、全線JRを利用したとみなして運賃を計算するという特例がある。

 ただし実際には、西日暮里で乗りかえるほうが楽だという考えもある。この場合にも、運賃計算上の特例がある。ただし、乗車券を買って乗った場合とICカードで乗った場合とでは仕組みが異なっている。乗車券の場合はJRの乗車距離を通算し運賃を出し、それに綾瀬から西日暮里までの運賃を足すことになる。一方、ICカードではそれぞれに運賃を負担させ、そこから100円引くことになる。

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