三菱自「ゴーン流」改革始まる 提携効果は「両社で500億円」 日産と生み出すシナジーとは(1/2 ページ)

» 2016年10月21日 14時41分 公開
[加納由希絵ITmedia]

 三菱自動車が日産自動車から2370億円の出資を受け入れ、日産とルノーが築き上げてきた世界的なアライアンスに加わった。日産のカルロス・ゴーン社長が三菱自の会長に就任し、日産の経営手法や人材、技術などを提供。再建を後押しする。三菱自は、社長に留任する益子修会長兼社長を中心に、燃費データ不正を引き起こした企業体質の根本的な改革に着手する。10月20日、両氏が都内で会見し、展望を語った。

photo 協業内容を語る日産のゴーン社長(左)と三菱自の益子会長兼社長

提携効果は両社で500億円に

 「より大きなシナジーを創出する」。両氏が繰り返し語ったのは、近く着手する計画の協業内容。三菱自の最優先課題である信頼回復の先に、両社が手を組むことによるメリットがあることを強調した。

 三菱自はすでに、日産から派遣された開発担当副社長を中心に、開発部門の改革に取り組んでいる。さらに、12月に開催予定の臨時株主総会後、ゴーン氏を含む4人を取締役に迎える。リスク管理の徹底やガバナンスの強化などに関して、助言や支援を受ける。また、グローバルリスクコントロール担当役員を新たに設置し、コンプライアンスを強化する。

 組織の改革に加え、成長に向けた取り組みも加速させる。ブランドの独立性を保ちながら、共同購買によるコスト削減、現地化の推進、工場の共用、技術の共有などを日産と実施することで、シナジーを享受する。具体的には、2017年に稼働するインドネシアの新工場で生産する新型車を日産にOEM(相手先ブランドによる生産)で供給する計画だ。生産台数を増やすことで、収益性を向上させる効果が見込める。

 三菱自は日産との協業により、17年度に250億円の提携効果を見込む。また、売上高営業利益率は17年度に1%、18年度に2%、19年度に2%以上上昇すると予想している。益子氏は「日産の成功体験から多くを学び、できるだけ早く現在の日産に近づきたい」と強調。経営の立て直しに向けた決意を示した。

photo 再建の方針を語る益子氏

 日産にとっては、アライアンス拡大による効果が大きい。三菱自が加わることで、16年度の販売台数は1000万台の大台に達する見込み。グローバルで存在感を強めることになる。

 また、東南アジア市場の事業拡大やプラグインハイブリッド技術の開発など、三菱自が持つ強みを活用。日産が先行する自動運転技術も共有する。両社の強みを共有することで、より短期間、低コストで先進的な技術開発を進められる。日産が見込む三菱自との提携効果は17年度に240億円。両社合わせると約500億円に上る見通しだ。

photo シナジーについて語るゴーン氏

 両氏の主な発言は次の通り。

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