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» 2016年10月25日 09時23分 公開

素顔は意外に優しい? 暴走するフィリピンの「暴言大統領」世界を読み解くニュース・サロン(3/4 ページ)

[山田敏弘,ITmedia]

破天荒な言動が目立つが、弱者に優しい

 ドゥテルテ自身はこうした発言をすべてジョークと認識しているようだが、それでも暴言は枚挙に暇がない。フィリピンは中国と領土権争いを繰り広げているが、彼は、「ジェットスキーで南沙諸島に行って、フィリピンの旗を立てる」と発言したり、選挙時からフィリピンの同盟国である米国とオーストラリアについては、「大統領になったら、外交関係を断絶してやる」とも語っていた。またその暴言で、メディアから比較されている米大統領選の共和党候補ドナルド・トランプについては、「奴は偏見に凝り固まっているが、私は違う」と言い放っている。

 とにかく破天荒な大統領だが、意外にも弱者に優しく、女性や児童に対する取り組みが評価されている。例えば、ダバオの行政機関で女性に等しい機会を与える取り組みを強化して評価されている。これはフィリピンで初めての試みである。また、家庭内暴力などの被害者である女性のために被害者支援センターを立ち上げる手助けもしている。そこには、オーストラリア女性に対する「強姦」発言からは想像できないような姿が見られる。

 女性の性労働者に対しても、手を差し伸べている。フィリピンでは売春は違法だが、ダバオでは街頭に立つしかない女性を守るために、行政への登録を促し売春を一部許している。そうすることで、売春で家族を養う女性の安全を確保しようという取り組みだ。そしてドゥテルテはこんな発言をしている。「私たちは女性を尊厳をもって扱うべきであり、彼女らは、女性だからではなく人間として尊重されるべきなのだ」

 さらにドゥテルテはダバオで、子どもの守られる権利や育つ権利を提唱する国連の「児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)」を手本にして、児童を支援するシステムを構築している。ダバオはフィリピンで最も児童に優しい街として表彰もされている。

 また公共サービスにも力を入れている。ダバオ市長時代には、救急車や消防車などのシステムも強化。ドゥテルテ自ら、夜中に突然現場に仕事の様子を視察に来ることもあったという。救急車には子どものために措置ができる特別な仕様を施すなどし、救急車や緊急の医療は無料にしている。当時から彼を知る人物は欧米メディアの取材に、「助けが必要な人たちを救うサービスに取り組む実務型の市長で鋭い政治家だ」と語っている。

 またこんな話もある。同性婚などに否定的とされるカトリックの国であるフィリピンで、ドゥテルテは同性愛者に対しても公然と理解を示している。選挙中、大統領に選ばれたら同性婚を合法にする可能性があると発言しており、地元テレビのインタビューで、自分の息子から同性愛者だとカミングアウトされても何ら問題はないと語り、「人間の尊厳の問題だ」と主張している。

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