なぜあの商品は売れた? 行列研究所が謎に迫る
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» 2016年11月08日 08時00分 UPDATE

スピン経済の歩き方:ご当地フィギュア「諏訪姫」シリーズが、20万体超のヒットとなった理由 (4/5)

[窪田順生,ITmedia]

「諏訪姫」が売れている理由

 「諏訪姫」が広告代理店やキャラクタービジネスの観点で生み出された「萌えキャラ」ではないことは分かったが、それのどこが「諏訪姫」の好調さの理由につながるのだ、と首をかしげる方も多いかもしれないが、大いに関係がある。

 全国で推計3000にものぼるという「ゆるキャラ」の現状を見れば分かるように、地域活性化や町おこしを「目的」として生まれたキャラクターたちの多くは、「経営」の視点がごそっと抜け落ちている。

 例えば、『北海道新聞』(2016年10月26日)によると、道交通政策局の北海道新幹線をPRする「どこでもユキちゃん」は15年度に223日間稼働したが、航空局が手がけた道内空港をPRする「きたぴょん」はわずか31日。北海道知事が「どこのキャラクター?」と口をすべらすほどマイナーな存在となっている。

 財務省が2014年度に「稼働日数が少ないものは、廃止も含めた抜本的な見直しを行うべきだ」と改善を求めたように、多くの「ゆるキャラ」が赤字企業化しているのは、「PR」や「地域振興」という効果測定が難しいものを「目的」と設定していることが大きい。テレビに何秒映ったとか、取材に何社訪れたとかがKPIになるので、とにかく「目立つゆるキャラをつくる」ということが「目的化」する。そのため、「人々に長く愛される」とか、「事業として継続させる」という発想が欠如してしまうのだ。

 これは「ご当地萌えキャラ」にもあてはまる。とにかく「目立つ」という結果が優先されるので、巨乳キャラはより巨乳を強調し、海女のキャラは肌の露出を多くしなくてはいけなくなる。

 だが、「諏訪姫」は違う。これは観光PRや地域振興のために生まれたのではなく、ピーエムオフィスエーの新規事業だ。そこには、従業員20名の生活や人生がある。

 だから、「目立つ」こと以上に市場に受け入れられ、顧客を獲得し、事業として継続させることが求められる。フィギュアとしての完成度、キャラクターとしての魅力、ブランドの世界観……販売目標というKPIに基づき、「売れるキャラクター」を必死につくり上げる。

 その試行錯誤が先の『読売新聞』にある。山口社長によると、『当初、全国展開を目指した商品は売れなかった。そこで、地元の諏訪で愛されるようにと方針転換』したという。

「諏訪姫」はピーエムオフィスエーの新規事業で生まれた(出典:ピーエムオフィスエー)

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