2016年は誰が手にした? ノーベル平和賞なんていらない理由世界を読み解くニュース・サロン(1/4 ページ)

» 2016年11月17日 08時00分 公開
[山田敏弘ITmedia]

世界を読み解くニュース・サロン:

 今知るべき国際情勢ニュースをピックアップし、少し斜めから分かりやすく解説。国際情勢などというと堅苦しく遠い世界の出来事という印象があるが、ますますグローバル化する世界では、外交から政治、スポーツやエンタメまでが複雑に絡み合い、日本をも巻き込んだ世界秩序を形成している。

 欧州ではかつて知的な社交場を“サロン”と呼んだが、これを読めば国際ニュースを読み解くためのさまざまな側面が見えて来るサロン的なコラムを目指す。


 2016年のノーベル賞が大きな騒動になったのは記憶に新しい。文学賞に選ばれた米歌手のボブ・ディランが受賞から音信不通になっていたことで、その動向に注目が集まった。

 結局、ディランは2週間ほどして沈黙を破り、何もなかったかのように感謝の意を述べた。英メディアから電話に出なかった理由を聞かれたディランは、「私はここにいるんだけどねえ」と、本人に電話が届いていなかったかのように答えている。

 そんな騒動が印象的だった2016年のノーベル賞だったが、「ノーベル平和賞」を受賞したのは誰かご存じだろうか。南米コロンビアのフアン・マヌエル・サントス大統領(参照リンク)である。名前を聞いてもピンとこない人が多いと思われるが、そもそも「この人がなぜノーベル平和賞を取れたのか分からない」という指摘が出ている。

 サントスが平和賞を受賞をした背景はこうだ。11月13日、時事通信は「コロンビア政府と国内最大の左翼ゲリラ組織コロンビア革命軍(FARC)は(11月)12日、内戦終結を目指す新たな和平案で合意したと発表した」と報じた。サントスは、このニュースに至る経緯で、平和賞に選ばれたのである。

 これだけではよく分からないので、時をさかのぼって簡単に説明したい。コロンビアでは、1964年からFARCと政府の内戦が半世紀以上にわたって続いてきた。これまで22万人が殺害され、数え切れない人たちが家を追われた。

ノーベル平和賞を受賞した南米コロンビアのフアン・マヌエル・サントス大統領
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