今知るべき国際情勢ニュースをピックアップし、少し斜めから分かりやすく解説。国際情勢などというと堅苦しく遠い世界の出来事という印象があるが、ますますグローバル化する世界では、外交から政治、スポーツやエンタメまでが複雑に絡み合い、日本をも巻き込んだ世界秩序を形成している。
欧州ではかつて知的な社交場を“サロン”と呼んだが、これを読めば国際ニュースを読み解くためのさまざまな側面が見えて来るサロン的なコラムを目指す。
ついに2016年の米大統領選が終わった。1年半にわたって繰り広げられた大統領選は、大方の予想に反して、民主党のヒラリー・クリントン前国務長官が破れ、共和党指定候補で、不動産王のドナルド・トランプが大統領に選ばれた。
トンデモ大統領の誕生である。トランプ候補の政策などの分析については今後このコラムでも言及していきたい。だが大統領選が終わったばかりの今回は、2度目の挑戦でも大統領になれなかったヒラリー・クリントンについて、おそらく多くの人がなんとなく疑問に思っていたのではないかとみられる点について触れたい。
それは、結婚40年以上になる夫であるビル・クリントン元大統領との関係である。
ビル・クリントンといえば、女性スキャンダルを起こした大統領として歴史に名を残している。現役時代は「徴兵逃れ」「ホワイトウォーター疑惑(過去の投資問題)」などといった問題が浮上したが、なんといっても、ホワイトハウスを不倫密会現場にした若い実習生との性的スキャンダルは大変な衝撃だった。その騒動は何カ月にもわたって続き、世界中で見世物となった。
ヒラリーはそんな夫婦にとっても致命的となる夫の失態を、どのようにして克服することができたのか。そこには計算高いと評判の彼女の野心的な「計算」があったようだ。
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