夫の不貞に耐えたのに、ヒラリーの悲しき末路世界を読み解くニュース・サロン(3/4 ページ)

» 2016年11月10日 07時13分 公開
[山田敏弘ITmedia]

夫の不貞を許してきた背景

 2人は、1970年にイエール大学のキャンパスで知り合っている。最初はビル・クリントンが彼女を講義で見かけて気に留めるようになったのだが、その後図書館で会話をするようになり、仲を深めていった。

 大学卒業後は、お互い離れた州で仕事をするなど、遠距離恋愛の期間などを経て、ビル・クリントンが知事となるアーカンソー州で結婚し、共に暮らすようになった。

 実は、2人は付き会って間もないころに、こんな構想をお互い「密約」している。20代半ばの2人は、そのころすでに「20年構想」と称して、政治家としての目標を定めたのである。2人は支持政党である民主党を改革し、ビル・クリントンを大統領にすると決め、選挙に勝つためには何でもするのだと協定を結んだという。

 当時政治家を目指していたビルが表の顔となり、大学時代から共和党や民主党の全国大会に出るなど政治に対して意識が高かったヒラリーは縁の下で支える(ヒラリーはもともと共和党の家庭に育ったが大学以降に民主党支持に変わっている)。そのころ、ヒラリーがビルに宛てた手紙には、非常に具体的にキャリアをどう進めて政治家としてのし上がるかが詳細に綴られていた、との証言が残っている。

 そしてビル・クリントンがアーカンソー知事から、大統領に上り詰めると、この「密約」は次のステージに進む。ビルは2期8年の大統領任期を全うして、次はヒラリーが大統領になって2期8年を終える――。

 こうしたヒラリーの政治的野心が、夫の不貞などを許してきた背景にはあったのだ。ヒラリーは自分の未来を考えて「計算」していたようなのである。事実、実習生とのスキャンダルが明らかになった時期までに、ヒラリーは次に大統領を目指すべく議会選に出馬する意思を固めていたという。夫を捨てて去るわけにはいかなかったのである。

 事実、夫のスキャンダルのおかげで全米から「耐える妻」として同情を集めることになった。ファースレディとしての国民からの支持率も過去最高レベルに達していたという。そしてその勢いで、夫が大統領の任期を終えた後、ニューヨーク選出の上院議員に当選した。

夫の女性スキャンダルを許した背景には……(出典:ヒラリー・クリントンの公式サイト)

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