富士通が島根でロボット生産に踏み切った理由(2/3 ページ)

» 2016年11月17日 12時45分 公開
[大河原克行ITmedia]

 ロボピンは、量産を前提に開発されたものではないため、製造図面が存在しておらず、島根富士通では製造図面を引くところから着手。駆動する際に最適なケーブルの長さなども島根富士通が決め、部品の選定にもかかわった。

 島根富士通では、PCの開発拠点である富士通川崎工場に、技術者を「社内留学」させる制度を数年前から実施。約5年間の社内留学研究経験者などが、ロポピンの製造図面を製図した。

 「工場は、開発および設計部門で作られた製造図面を基に生産をするのが一般的だが、開発、設計の業務に携わった経験者が在籍しているのが島根富士通の特徴の1つ。今回のロボピンの生産においても、製造図面を引くところから対応できたのは、そうした人材が社内に在籍しているため」(宇佐美社長)とする。

島根富士通でロボピンを生産する様子 島根富士通でロボピンを生産する様子
元々のPC製造ラインをうまく利活用している 元々のPC製造ラインをうまく利活用している

 設計まで行える体制はロボット生産には有効だ。アイデアはあるものの、量産ノウハウを持たないベンチャー企業などが、ロボットを製品化する際の支援サービスとしても展開できるようになるからだ。ここにも島根富士通がロボット生産を行える理由がある。

 さらに、島根富士通には、基板製造ラインを有していることから、ロボットに最適化した基板作りが可能であることに加えて、1台ごとに異なる仕様にカスタマイズしたノートPCの生産ができる体制を既に整えている点も、今後のロボット生産にはプラス要素となりそうだ。

 島根富士通の宇佐美社長は、「今回の経験を踏まえて、富士通グループ以外からも、ロボット生産を受託したい」として、今後さらにロボット生産に積極的に乗り出す姿勢を見せる。

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