IDC Japanは12月15日、第3四半期(2016年7〜9月)のウェアラブル端末の世界出荷台数は前年同期比3.1%増の2303万台だったと発表した。2014年の第1四半期以来続いていた市場拡大は落ち着き、2016年に入ってからは成長率が鈍化傾向にある。
全体の約40%を占めるのが腕時計型の商品。タイプ別に見ると、「Apple Watch」に代表される高性能なスマートタイプ(スマートウォッチ)が284万台、フィットネスバンドのように機能がシンプルなベーシックタイプが658万台。価格面で優位に立つベーシックタイプの出荷がスマートウォッチを上回る状況が続いており、スマートウォッチは2四半期連続で前年割れとなっている。
米IDCのシニアマーケットアナリスト、ジテシュ・ウブラニ氏はスマートウォッチの課題について「どのような場面で使うのかが不透明」と指摘する。
「スマートウォッチが万人向けのものでないことも明らかになった。明確な“使用目的”と“使用事例”が極めて重要であり、スマートウォッチとスマートフォンの差別化を示すことが普及のカギとなる」(ジテシュ・ウブラニ氏)
一方、VR・AR機器の世界出荷台数(2016年7〜9月)は、前年同期比681%増の306万台で、市場の拡大が続いている。2015年第4四半期(10月〜12月)から前年同期比の伸び率が極めて高く、「VR・AR市場の立ち上がりが本格的に加速しつつある」(同社)ようだ。
VR市場は、スマートフォンに装着するVRゴーグル型のヘッドセットを販売しているSamsung(36.7%)とAlcatel(13.6%)が計50%以上のシェアを獲得し、市場をけん引している。
「2016年はソニーの『PlayStation VR』が登場し、マイクロソフトの『HoloLens』も開発者向けの出荷が開始されるなど、2017年も市場を大きく成長させる要素が多い」(同)
AR市場については「今後5年間は、コンシューマー分野よりも製造や医療の現場などビジネス分野での出荷増が期待できる」(同社)と分析。
「VR・AR機器の急速な市場拡大は2017年も続き、VR・ARによる全く新しいユーザー体験がデジタルトランスフォーメーションを強力に推進していくだろう」(同社)
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