村田製作所が挑む交通インフラビジネスとは自らシステム運用、データ提供に参入(1/2 ページ)

» 2017年01月06日 08時00分 公開
[加納由希絵ITmedia]

 村田製作所は、新開発の交通インフラシステムを海外で事業展開する。センサーと無線通信で交通量などのデータを収集する「トラフィックカウンタシステム」を開発。渋滞が深刻なタイ・バンコクで実証実験を進めている。システムを製品化するのではなく自社で運用し、多様な交通情報を提供するビジネスモデルの構築を目指す。

photo バンコクの渋滞解消につなげられるか(2014年9月撮影)

 トラフィックカウンタシステムは、同社が強みを持つセンサー技術や産業用無線通信システムを活用して開発した。センサーと無線通信システム、データ処理システムなどを搭載した、センサーノードと呼ばれる装置を道路上の信号機や歩道橋などに設置。車両数のほか、車速や車種、進行方向などの情報を道路レーンごとにリアルタイムで収集する。天候、地理情報などの取得も可能だ。

 収集したデータは、センサーノード内で処理してからワイヤレスネットワークを通じて送信する。膨大な生データをそのまま送信する必要がないため、データ量を小さく抑え、省電力につなげることができるという。

 また、無線通信を使用することから、設置に必要な機材や工数を少なくできる。現段階では各センサーノードの電源を有線でつないでいるが、将来的には太陽光発電で稼働させ、設置をさらに簡単にする計画。大掛かりな設備を必要としない、ローコストオペレーションを目指している。

photo 道路上に設置したセンサーノード(村田製作所提供)

交通データを提供する

 日本では高機能カメラなどを活用したインフラシステムがすでに普及していることから、海外で事業化を目指す。

 その方法は、地図制作会社など、交通情報をビジネスに使用する企業に向けたデータ販売だ。開発したシステムを販売するのではなく、自社で運用して付加価値の高い情報を提供する。電子部品製造などを主力とする同社としては、新しい試みとなる。

 では、なぜデータ販売なのか。事業化を目指す国ごとに狙いは異なる。

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