2016年11月の日本経済新聞に、セブン&アイグループが不動産再開発子会社を再編したという記事が載った。そんなに大きく取り上げられなかったこの記事こそ、これからのイトーヨーカ堂の反撃に向けたグループとしての取り組みが始まったことを示している。
小さく報道されたこの記事の本質は、セブン&アイグループが、ついに本格的な構造改革に踏み出した号砲であると思いたい。彼らがこの改革を完遂できたなら、イトーヨーカ堂は首都圏の駅前大型商業施設の運営会社として復活するであろう。しかし、こうした変革は大きな痛みを伴うものであり、短期的に経営陣が受ける関係者からの圧力は相当なものとなるだろう。今後の経営陣がこの圧力に耐え、持続できるかどうかによって、このシナリオの結末は変わってくるだろう。
中途半端な改装や潜在的好立地を手放す、ということに終始した場合、イトーヨーカ堂は滅亡した恐竜のごとき存在として、20年後の流通史に記されることになる。その次はもうないのである。
中井彰人(なかい あきひと)
メガバンク調査部門の流通アナリストとして12年、現在は中小企業診断士として独立。地域流通「愛」を貫き、全国各地への出張の日々を経て、モータリゼーションと業態盛衰の関連性に注目した独自の流通理論に到達。
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