日本ではあまり馴染みがないが、海外では政治家や企業が自分に有利な情報操作を行うことを「スピンコントロール」と呼ぶ。企業戦略には実はこの「スピン」という視点が欠かすことができない。
「情報操作」というと日本ではネガティブなイメージが強いが、ビジネスにおいて自社の商品やサービスの優位性を顧客や社会に伝えるのは当然だ。裏を返せばヒットしている商品や成功している企業は「スピン」がうまく機能をしている、と言えるのかもしれない。
そこで、本連載では私たちが普段何気なく接している経済情報、企業のプロモーション、PRにいったいどのような狙いがあり、緻密な戦略があるのかという「スピン」に迫っていきたい。
4月4日でマクドナルドの「クォーターパウンダー」が販売終了する(関連記事)。
そこまで定番商品というイメージがないかもしれないが、「クォーターパウンダー」は本国マックのWebサイトでビッグマックと並んで紹介される、「マックの顔」ともいうべきブランドだ。
事実、日本上陸を果たした2008年当時、日経トレンディの取材に対して、同社のコーポレートリレーション本部コミュニケーション部の方もこんなことをおっしゃっている。
「お客様がマクドナルドに求めているものは、“マクドナルドっぽい商品”なのではないかという意見が社内で話し合われた。『もっと分かりやすくマクドナルドのアイデンティティが感じられる商品を』と考え、クォーターパウンダーに至った」(2008年12月16日 日経トレンディネット)
そんな「顔」が消えるとなれば当然、ファンは衝撃を受ける。いまもネットではさまざま声が飛び交っているが、中でも興味深いのは「レギュラー落ち説」が囁(ささや)かれていることだ。
2017年1月、「第1回マクドナルド総選挙」というキャンペーンが開かれた。マックのレギュラーハンバーガー12種類を、ビーフ系のAブロック(6種)とビーフ以外のBブロック(6種)にわけ、お客さんに人気投票してもらう企画で、Aブロックの最下位となったのが、「クォーターパウンダー・チーズ」、ビリから2番目が「ダブルクォーターパウンダー・チーズ」、はからずも「クォーターパウンダー」で不人気ワンツーフィニッシュとなってしまったことが、販売終了へ結びついたのではないかというのだ。実際に、Bブロックの最下位となった「バべポ」(バーベキューポーク)も販売終了になっている。
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