2014年には、米国で権威のある消費者雑誌『コンシューマー・リポート』が全米3万2405人を対象とした調査で、マクドナルドは「最もおいしくないハンバーガー」に選ばれた。これは決してマックの品質が落ちたわけではない。「高級ハンバーガー」が世に溢れていることで消費者のハンバーガーに対する評価が厳しくなり、マックが置いてけぼりをくらってしまっただけなのだ。
では、こうならないためにどうすればいいのかといえば、「同じ土俵」に乗らないことだ。つまり、「素材」や「肉の厚み」をうたう高級ハンバーガーと比較され、酷評される恐れのある商品を捨てるのだ。それがマックにおいては「クォーターパウンダー」であることは明らかだ。
つまり、今回の販売終了は、本国から飛び火してきた「高級ハンバーガー競争」を踏まえ、日本のマックが本格的な迎撃体制を整え始めた、と言えなくもないのだ。
口でいうのは簡単だが、こういうことができる企業は少ない。特にそれがその企業の「アイデンティティ」というべき存在ならばなおさらで、過去の歴史やストーリーにしがみつく。
だが、マックはそれをサラッと決別している。時代の変化に対応して、ライバルたちの追撃を交わすため、やるべきことに手をつけているのだ。
2017年のマクドナルドは面白いことになるかもしれない。
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで100件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。
著書は日本の政治や企業の広報戦略をテーマにした『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。
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