先端テクノロジーや斬新なアイデアによって続々と誕生する新しい製品・サービス。それらはビジネスの現場をどのように変えようとしているのか。ITmedia ビジネスオンラインの若手記者たちが開発や販売の現場を取材し、進化するビジネスの“イマ”を追いかける。バックナンバーはこちら
通販大手の千趣会が、最新ネイルプリンタを使用したジェルネイルサービス「ツメコ」の展開を始めた。ジェルネイルというと、専門のネイルサロンでネイリストが施術するイメージが強く、ハードルが高いように感じる。同社は、それを短時間で手軽にできるネイルプリンタをメーカーと共同開発。美容サロンなどで活用してもらう。新サービスの登場で美容業界はどうなっていくのか。実際にツメコを体験し、手軽さと“わくわく感”を味わった。
通常、ジェルネイルの施術には1〜2時間はかかる。ネイルアートのデザインによっても手間や時間が左右される。ツメコの場合は、前処理など全ての工程を含めて45分以内。プリンタに指を入れて色や柄を付ける工程に至っては、指5本を約20秒で仕上げる。
新規事業としてネイルのサービスを考案したのは、千趣会の主要顧客である女性が喜ぶサービスを提供するためだ。通販事業による既存のリソースや強みを生かすことよりも、女性の悩みやニーズをくみ取ることを重視したという。事業開発チームの梅野理佳さんは「自分がネイルサロンに通っていて、技術が人によってバラバラだったり、時間やお金がかかったりすることに不満があった」と話す。
需要や事業性などを研究した上で、事業化できると判断。海外製のネイルプリンタをヒントに、より性能が高いネイルプリンタの開発を始めた。日本のネイルサロンの技術力は高く、そこに近い水準のジェルネイルをプリンタでも提供する必要がある。ジェルや溶剤も大手メーカーと共同で独自開発した。研究期間も含めると、開発には約3年を要した。
品質をネイルサロンに近づけるのは簡単ではなかった。ツメコでは、前処理として白や半透明のジェルを塗ってからプリンタで柄を付けていくが、開発当初はインクを載せるプリントの層が翌日には剥がれてしまった。そこで、インクをジェルに吸着させるための溶剤を独自開発。プリントの層とジェルを一体化させることができた。ツメコのジェルネイルは、少なくとも2週間は持つという。
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