「楽しく痩せたい」狙え 広がる「暗闇フィットネス」暗闇の中、跳びはねる

» 2017年03月10日 07時44分 公開
[青柳美帆子ITmedia]

 「健康になりたい、痩せたい」――こんな思いをもとに、民間のフィットネスクラブの市場が好調だ。市場規模はここ数年4000億円強を推移しており、2015年には4381億円と最高値を更新した。施設数も毎年200軒ずつ増加をしており、業界規模は拡大を続けている。

 業績は悪化してはいるが、業界首位に立つのがコナミスポーツクラブ。セントラルスポーツ、ルネサンス、ティップネスなどその他の大型総合業態は横ばい〜微増を続けている。業界のトレンドは新興プレイヤーの急成長。「結果にコミットする」でおなじみのRIZAP(ライザップ)は最も目立つ例だが、「女性」や「高齢者」などターゲットを絞った小規模業態が増加し成長を見せている。

 美容、エステ、フィットネス運営を行うベンチャーバンク(東京都港区)も、ターゲットを絞って展開し、成功を収めている企業の1つだ。ホットヨガ「LAVA」や室内サイクリング「FEELCYCLE」などの事業が女性を中心に支持され、2016年3月期の売上高は前年比37%増の289億円に拡大。16年10月には会社分割し、ホットヨガ事業をLAVA Internationalに、室内サイクリング事業をFEEL CONNECTIONに移譲している。

「暗闇フィットネス」で支持集める「jump one」

トランポリンで女性からの支持「jump one」

 ベンチャーバンクが16年3月から始めた「jump one」も、月額1万4800円(税別/30回通えるプラン)と決して低料金ではないものの、女性からの支持で好調だ。jump oneはトランポリンの上で音楽に合わせてエクササイズするフィットネスで、チェコから出発し欧州で流行。ダイエット効果や引き締め効果をうたっている。

 東京・銀座にオープンした1号店は、会員の95%が女性。会員数の増加に伴い予約が取りづらい状態になったため、3月13日に新宿に2号店を、3月31日に池袋に3号店をオープンする。どちらも女性専用スタジオだ。

 3月9日に行われたメディア体験会で、実際にjump oneのプログラムを体験してみた。約45分間、クラブ風の音楽に合わせて跳んだりはねたり、ストレッチしたり筋トレしたりする。日ごろの運動不足がたたり、やっているときは息が切れ、汗が噴き出してくるが、「もう無理……」とギブアップしてしまうほどではない。

 「ランニングと比較すると約1.7倍の運動効果があり、トランポリン45分でランニング75分程度の運動効果があると言われています。45分間のレッスンで450〜800キロカロリーを消費できます。体幹を使うので、引き締まりつつもがっちりとはしない体になるので、女性にお勧めできますね。トランポリンが衝撃を吸収してくれるので、足への負担も少ないです」(広報担当者)

1フロアで最大27人がエクササイズできる
シャワー室も設置してある。設備は全体的に白を基調としている

「人目を気にせずにできる」で好評 暗闇フィットネス

 特徴的なのは、暗闇の中でエクササイズすること。うまく跳べていなくても、足が上がっていなくても、汗だらけになっていても、気にしなくていいのはプラスポイントだ。もともとベンチャーバンクはFEELCYCLE事業で「暗闇の中でエクササイズ」を始め、成功を収めている。そのノウハウを新事業にも生かした形だ。

 「暗闇で行うのは日本独自。日本はシャイな方が多いので、人目を気にせずにできるところや、インストラクターと向き合って運動しているような印象を受けるところは高評価をいただいています。それでも、他の人の気配は伝わるので、『みんなが頑張っているから自分ももうちょっと頑張ってみよう』といった集団レッスンならではの良さも残っています」(広報担当者)

 こうした「暗闇フィットネス」は、日本では広がりつつある。急速に店舗を拡大しているb-monster社の「b-monster」もその1つだ。暗闇の中で爆音に合わせてボクシングをするタイプのフィットネスで、ダイエット効果やトレーニングのほかにもストレス発散効果をアピールしている。

 きつすぎる運動ではなく、人目を気にせず、楽しく体を動かしているうちにいつのまにか痩せていたい――そんな女性のニーズを狙った「暗闇フィットネス」は、今後も成長が期待できるだろう。

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