理論で分かる きゃりーがブレイクした理由キャズム理論が進化している(1/6 ページ)

» 2016年12月02日 07時37分 公開
[永井孝尚ITmedia]
きゃりーぱみゅぱみゅはなぜブレイクしたのか

 「あのー、これ、なんですか?」

 テレビで初めてきゃりーぱみゅぱみゅ(以下、きゃりー)を見たときの、私の正直な感想だ。

 紫色のウィッグを付けた頭の上に大きな黄色いリボン。ピンク色の大きな水玉模様のフワフワしたファッションに身を包み、小さなライブハウスできゃりーは歌っていた。その歌もどこか棒読みっぽい。最初に聴いたときは、私にはこう聞こえた。

 「〇×△■◎※▲▽……」

 なぜかその歌が耳にへばりついて離れない。

 女性アイドルといえば、愛嬌を振りまきカワイイのが相場。きゃりーも普通にしていればカワイイ女の子だが、どちらかというと無表情で困り顔だ。しかし突然タコのような口や、ゴリラのような威嚇する顔をして、アイドルではありえない「変顔」をする。まるでアイドルというよりも、ゆるキャラ。「不思議ちゃん」という言葉がピッタリだ。

 しかし、そのきゃりーが、あれよあれよという間に大ブレイク。世界中にもファンがいて、いまや日本の「カワイイ」文化の象徴だ。そして最近、街ではきゃりーのような不思議ちゃん系の女性が急増している。ちまたではきゃりーのような不思議ちゃん系の女性ファッションを「青文字系ファッション」と呼ぶらしい。

 昔から息長く続いているコンサバのモテ系ファッションが好きな女性が読む『JJ』や『CanCam』のような雑誌は、表紙のタイトル文字が赤やピンクの赤色系なので「赤文字系雑誌」と呼ばれている。これに対して最近流行の不思議ちゃん系が好んで読む『mini』『Zipper』などの雑誌が「青文字系雑誌」と呼ばれている。だから「青文字系ファッション」だ。

 このように女性ファッションにはブームがある。そして新しいファッションは、ある日いきなりブレイクするわけではない。ちゃんとした仕組みがある。この仕組みを解き明かして新商品をブレイクさせるために役立つのが、イノベーター理論とキャズム理論だ。

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