森永製菓「マクロビ派」 おいしさ追求で壊した“壁”味を変えたリニューアル(2/4 ページ)

» 2017年08月07日 07時00分 公開
[加納由希絵ITmedia]

「おいしくする」ことへの葛藤

 リニューアルで何を変えるか。「最も悩んだのが“味”でした」と波多江さんは振り返る。もともと、バターや白砂糖、卵などを使わないという、通常の菓子の作り方とは全く異なるコンセプト。レーズンやアーモンド、ひまわりの種、てんさい糖などを使用した、健康的で素朴な味が“売り”だった。

 リニューアルでは、ターゲット層を広げるため、甘味を増し、より「おいしい」味に変えることに決めた。しかし、その決断に至るまでに、“見えない壁”が立ちはだかった。

 それは、商品に対する固定観念や思い込みだ。菓子のおいしさというより、健康的な味が好まれる商品だった。より広く好まれるようにするためとはいえ、味を変えることに抵抗感が生まれた。「この味が好きな人は確かにいる。『変えたくない』という葛藤があった」。

 その心理的なハードルを取り払うために、客が商品に求める価値を見直した。その価値とは、植物性の原料だけを使っていることと、素材そのものの味を感じられること。「おいしくないものを食べたいわけじゃない」。

 さらに、商品に対する思い込みを変えるため、あらためて、マクロビ派ビスケット“らしさ”を掘り下げた。「当時、『マクロビっぽい』という言葉がチーム内で独り歩きしていました。その言葉をNGワードにして、別の言葉で言い換えて考えていきました」。その結果、白砂糖ではなくナッツやベリーなどの素材をかんで甘みを感じられることが、マクロビ派ビスケットが打ち出すべき強みだと結論付けた。

photo リニューアル後の商品。味を変えることに悩んだ

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