働き方改革はオフィスから――。フリーアドレス制導入やコミュニケーションスペースの設置など、オフィスの雰囲気をがらりと変える企業が増えている。その変化は、オフィス家具を入れ替えたり、レイアウトを変更したりするだけにとどまらない。オフィスを知り尽くすメーカーはどんなニーズに応え、何を提案しているのか。最新動向を探る。
「毎日、決まった人としか話さない」「同僚の顔と名前が一致しない」「コミュニケーションの場所を作っても使われない」。そんなオフィスの悩みに対応する提案に注力しているのが、オフィス家具・文具メーカーのプラスだ。オフィス改善を提案するだけでなく、その活用方法も紹介する“コト提案”を強化している。その背景には、失敗を重ねながらオフィス改革に取り組んだ自社の経験があった。
プラスのオフィス家具事業を担う社内カンパニーのファニチャーカンパニーは、2013年にオフィスを移転し、東京都千代田区に「東京オフィス」を開設。移転を機に、コミュニケーションスペースを設置し、社内交流を活性化しようと考えた。
移転前のオフィスは2フロアで面積は約1150平方メートル。移転後は1フロアになるものの、広さはほぼ同じ。そのまま移動してしまうと、新たなスペースは生まれない。
そこで、紙の資料を中心に、モノを半分に減らすことに取り組んだ。部署ごとに必要な資料などを見直し、複数の社員が同じものを持っていた分厚いサンプル資料を1冊に減らしたり、たくさん置かれていた家具サンプルを減らしたりすることでスペースを確保。「モノを減らすことで、約130平方メートルの空きスペースが生まれました」と、市場開発本部企画推進部課長の岡本裕介氏は振り返る。
空いた空間を活用して、カフェスペースや多目的スペース、作業に集中するブースなどを設けた。しかし、それで職場が活性化した……というわけではなく、実は、オフィスを変えてもうまくいかなかった。カフェスペースにはコーヒーを取りに来るだけ。「会話が生まれない状況は何も変わりませんでした」(岡本氏)。
その状況を変えようと立ち上がったのが、入社3年目までの若手社員。人と人のつながりを深めて社内を明るくするアイデアを自発的に提案した。それが「ワクワクプロジェクト」だ。
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