無資格検査 日産の社長が「謝罪」をしない理由スピン経済の歩き方(1/5 ページ)

» 2017年10月10日 08時12分 公開
[窪田順生ITmedia]

 国土交通省の立ち入り検査によって、無資格の従業員に「完成検査」をさせていたことが判明した日産自動車が、38車種116万台のリコールの届け出をした。

 完成検査とは、新車を出荷する前に行う最終チェックのことで、道路運送車両法などに基づき各社が認定した「検査員」が実施するということになっているが、日産では資格をもたない補助員による検査が常態化していた。しかも、新聞各社の報道によると、工場では書類上は実際にはやっていない資格者が検査したように偽装するための印鑑を貸し出すなど、組織ぐるみで法令を無視する気マンマンだったふしもあるという。

 なぜこういうルール破りが正常運転になったのかは気になるところだが、個人的にそれよりも注目しているのが、今回の件で日産がみせたかなり斬新な「マスコミ対応」である。

 一言で言うと、「かなり攻めている」のだ。

 筆者は報道対策アドバイザーという仕事柄、これまでいろいろな企業の危機管理広報対応を細かく見てきているが、日産ほどの大企業で、しかも製品の安全や信頼にかかわる不祥事で、こういうスタイルをとるのはかなり珍しい。

 正しい、間違っているという話ではない。まさしくいまいたるところでイジられている「やっちゃえ」や「ぶっちぎれ」というキャッチコピーに象徴されるような感じで、危機管理のセオリー的なものにとらわれず、我が道を突き進んでいるような印象だと申し上げているのだ。

 いったいどういうことかを分かっていただくため、今回の対応のなかでも特に「やっちゃえ」感が強く出ている3つのポイントを順をおってご説明しよう。

完成検査不備で「セレナ」もリコール対象となった

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