朝読需要で20万部突破。児童書「5分シリーズ」誕生秘話カギになるのは「朝読」「郊外」(3/3 ページ)

» 2017年12月27日 07時00分 公開
[青柳美帆子ITmedia]
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――書店でもきっちり売れている。どういった書店で売れているのでしょう。

鎌塚: 都市型の書店よりもモール型の書店の方でよく売れています。通常はやはり首都圏のターミナル近辺の大型店が強いのですが、郊外のショッピングモール内に入っている広い書店での売れ行きがとても良いです。……つまり、地元に住んでいる10代の子やその親が、土日にショッピングモールに来て買ってくれているということになると思います。結果的に幅広いタイプのお店でコンスタントに売れていくということが見えてきました。

――郊外の話は面白いですね。以前10代にヒットしている「告白実行委員会」について取材したとき、「郊外の女子中高生」をメインターゲットにしていると聞きました

鎌塚: 10代に大きくヒットする本は郊外で売れますね。例えばスター作家である山田悠介さん、西尾維新さん、住野よるさんの本は郊外ですごく強い。個人的に考えているのは「埼玉の郊外で売れたら勝ち」。やはり10代の子供たちは行動範囲も限られているので、地元のショッピングモール内のチェーン書店に非日常の刺激を求めて来るのだと思います。そこで求められる本が10代に響く本ではないでしょうか。非日常的な刺激を求めている子は、必ず小説を読む。そこでこそフィクションの力が求められていると思います。

松田: エブリスタに投稿している書き手も、郊外でショッピングモールに行っているような大学生や主婦、サラリーマンが多く、その感性がマッチしたのだと思います。投稿サイトのエブリスタと老舗出版社である河出さん、お互いにないものを補い合って、心に刺さるフィクションを10代に届けられるといいですよね。18年春ごろには、「恋愛」をテーマにしたものと、クスッとできる笑いをテーマにしたものをシリーズ第4弾として刊行します。「恋愛」は10代に非常に人気のある“鉄板”のジャンル、笑いはどうなるか未知数の冒険ジャンル。第4弾で更に「5分シリーズ」の幅が広がればと思っています。



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