映画に演劇も 2018年期待の鉄道エンターテインメント杉山淳一の「週刊鉄道経済」(3/4 ページ)

» 2018年01月12日 07時00分 公開
[杉山淳一ITmedia]

『泳ぎすぎた夜』

 ――青森県弘前市でオールロケ、弘南鉄道が登場。18年春公開予定。(公式サイト

 鉄道が主な舞台ではないけれども、弘南鉄道車内や、弘南鉄道大鰐線松木平駅で撮影された映画だ。弘南鉄道の公式サイトで先行上映会の告知があった。青森県日仏協会創立30周年記念事業として制作された。その趣旨に沿うように、監督は日本の五十嵐耕平さん、フランスのダミアン・マニヴェルさんが共同で手掛けた。1月27日に弘前大学で特別先行上映会が開催される。春から東京・渋谷のシアター・イメージフォーラムなどで全国公開される。

 6歳の少年が魚市場で働く父に絵を届けるという物語。ネットで公開されている予告編では、雪深い道を歩き、1人で電車に乗る姿が描かれている。小学校1年生が通学路を離れるという大冒険。初めてのおつかいを連想するけれど、どんな展開になるのだろう。すでに完成しており、第74回ヴェネツィア国際映画祭・オリゾンティ(革新的、かつ斬新な作品)部門に出品されたほか、第18回東京フィルメックスでは学生審査員賞を受賞している。

 鉄道が主役とはいえなくても、こうした映画作品に登場し、観光人気が盛り上がる事例は多い。08年の中国映画『狙った恋の落とし方。』がきっかけで、JR釧網本線北浜駅に大勢の中国人観光客が訪れているし、16年のアニメ映画『君の名は。』に登場する駅に似ているとして、秋田内陸縦貫鉄道が聖地巡礼の対象になった。11年の『ハナばあちゃん!! 〜わたしのヤマのカミサマ〜』の撮影で使われた小坂鉄道廃線跡のレールバイクは、その後に観光施設として正式にサービスを開始している。

 『泳ぎすぎた夜』で、弘南鉄道が盛り上がるかもしれない。

photo 『泳ぎすぎた夜』公式サイトより

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