全国出版協会がこのほど発表した出版市場調査によると、2017年の紙の出版物(書籍・雑誌)の推定販売金額は前年比6.9%減の1兆3701億円で、13年連続で前年を下回った。
紙の出版物の推定販売金額は、書籍が3.0%減の7152億円、雑誌が10.8%減の6548億円。好調だったジャンルは文芸書、教養新書、参考書で、「九十歳。何がめでたい」(小学館)、「うんこ漢字ドリル」シリーズ(文響社)などがベストセラーとなった。
雑誌はほとんどのジャンルがマイナス成長だった。唯一好調だったのは女性誌で、コスメグッズなどの付録が付く「MAQUIA」(集英社)や「美的」(小学館)などがよく売れた。
人気作品の完結、映像化作品の不振などの要因でコミックスも低迷。同協会は「電子コミックへの移行が進んでいる」とみる。17年の主なヒット作品は「僕のヒーローアカデミア」(集英社)など。
一方、電子出版物の推定販売金額は前年比16.0%増の2215億円と大きく成長した。内訳は、電子コミックが17.2%増の1711億円、電子書籍が12.4%増の290億円、電子雑誌が12.0%増の214億円。
好調の電子コミックだが、同協会は「各社が値引きキャンペーンや無料試し読みなどの施策をこぞって展開した影響で、飽和状態になりつつある」と懸念する。17年はコミックの内容を違法に掲載する海賊版サイトが発覚するなど、問題が表出するケースも多かった。
電子書籍は発行数の増加と比例し、販売金額も上昇。紙書籍のベストセラーが電子版でも売れる傾向がみられた。
電子雑誌も伸びたが、NTTドコモの定額制雑誌読み放題サービス「dマガジン」の会員が減った影響で、伸び率は前年より鈍化した。
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