春闘集中回答、ベア前年超え相次ぐ トヨタ3.3%賃上げ日産は満額回答

» 2018年03月14日 16時02分 公開
[ロイター]

[東京 14日 ロイター] - 2018年春季労使交渉(春闘)で、自動車や電機などの主要企業が14日、労働組合の賃金要求に対して一斉に回答した。デフレ脱却に向け、安倍晋三首相が3%以上の賃上げを求める中で、基本給を底上げするベースアップ(ベア)は前年を上回る企業が相次いでいる。

photo 3月14日、2018年春季労使交渉(春闘)で、自動車や電機などの主要企業が、労働組合の賃金要求に対して回答を始めた。写真は都内で2016年2月撮影(2018年 ロイター/Thomas Peter)

5年目を迎える「官製春闘」。春闘相場への影響力が大きいトヨタ自動車<7203.T>はベアに相当する賃金改善が前年実績の月額1300円を上回る水準で決着した。具体額は非公表。期間従業員や再雇用者を含めた全組合員の昇給率は3.3%となり、安倍首相の要請を上回った。

会見した上田達郎専務役員は、首相の要請にこたえたのかとの質問に対し、「日本の経済発展やモノづくりに貢献したいとの思いがどこよりも強く、3.3%を回答した」と語った。

日産自動車<7201.T>のベアに相当する賃金改善分は月3000円、一時金は5.8カ月分と、いずれも満額回答となった。ベアは前年の1500円から倍増。年収ベースでは平均1.3%の賃金上昇となる。

ホンダ<7267.T>のベアは月1700円と、前年から100円増加。一時金は6.2カ月で満額回答となった。

電機大手では日立製作所<6501.T>やパナソニック<6752.T>、三菱電機<6503.T>、富士通<6702.T>などのベアが前年の1000円を上回る1500円で決着した。三菱電機は2007年度以来10年ぶりに期末特別一時金を支給する。

日立は定期昇給とベアの月収ベースでは2.3%、賞与も含めた年収ベースでは4.1%の引き上げとなる。

2年分を一括交渉した新日鉄住金<5401.T>は、18年度1500円、19年度1500円で妥結。16年度は1500円、17年度は1000円だったため、2年で計500円増となる。

自動車総連や電機連合が加盟する全日本金属産業労働組合協議会(金属労協)の高倉明議長(自動車総連会長)は「大手の集計対象組合は前年を上回る賃上げをほとんどのところが獲得している」と評価した上で、「中小企業が安心して賃上げできる環境を作ってあげることが重要だ」と政府に注文をつけた。

(志田義寧)

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