河合: そうです。現場の部長は「道半ばですけど4台でできそうです」と言うので「何が道半ばだ。カイゼンはいつだってずっと道半ばだ」と言ったのです。
要するに、現場の効率化を進めるためには、8台でやっていることをずっとそのままで良いとは考えないことです。4台にすれば次は3台が、その次は2台が見えてくる。1つの工場でこうやってカイゼンができれば、次に新しいラインを作るときには、もう誰も8台のロボットが必要だとは考えなくなります。黙っていても4台からスタートするのです。
池田: つまりカイゼンに終わりはないということですね。
河合: カイゼンは新しいやり方に変わった途端からまた始まります。今までのやり方に囚われてはいけません。ボクは「設備担当には正味時間を常にチェックしろ、何時間動いているんだ」と言っているんです。30%しか動いていないなら、3台を1台にすれば良い。1つ1つの作業をカイゼンしていけば正味時間は減らせます。正味時間が減れば設備が減らせます。限りないカイゼンです。正味時間の中身を常に考えること、それは働き方改革でもあります。
池田: なるほど、単に生産効率を上げるだけでなく、労働時間や作業する人の負荷を減らしていく意味もあると言うことですね?
河合: ただし、それは機械に置き換えれば良いという話じゃないんです。こないだもウチの役員が、働き方改革の話をしているとき、「今まで人間が十数時間かかってやっていた処理を、コンピュータを導入したら3時間でできます」と言う。それを聞いたほかの部署でも「ウチもやるか、ウチもやるか」って言うんです。
ボクは言ったんですよ。「何が働き方改革だ。そんなのはカイゼンじゃない。それはカネに置き換えただけだ。コンピュータを入れて3時間になったものを、人の工夫で2時間、1時間にしてこそ働き方改革だ。早い計算機を買ったから早くできますなんてのは、カネを使っただけじゃないか。仕組みを変えて、必要なものと不必要なものに分けてさらに短縮してこそ働き方改革だ」と。
池田: なるほど。ニンベンの話と同じで、ただ自動で動かすのではカイゼンじゃないと言うことですね。効率改善だけでなく、働き方改革でもあると。非常に多面的なんですね。
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