攻める総務

なぜ「ペット同伴OK」のオフィスがうまくいっているのか犬や猫と一緒に出勤(2/3 ページ)

» 2018年03月29日 11時00分 公開
[加納由希絵ITmedia]

人にも動物にも「良い環境」を

 ペットがオフィスにいることで、癒やしやストレスの軽減、社員とペットの生活を尊重できる、といった効果はあるが、その中でも大きな効果は「コミュニケーションが活発になった」ことだと、広報・渉外部の中村由帆さんは話す。

 「業務上の関わりがなくても、ペットをきっかけに会話が生まれます。仕事の相談もしやすく、オフィスの雰囲気は明るいです」(中村さん)

 ペット用品を扱う会社であるため、ペットを飼っている人が多い印象があるが、そうでもないという。ペットを飼っているのは社員の2割程度。さまざまな事情で飼うことができない社員も、オフィスで犬や猫と触れ合うことで、生態などを知るきっかけになっている。

 しかし、たくさんの人が集まるオフィスには、動物が好きではない人もいるだろう。アレルギーを持っている人もいるかもしれない。どのように対応しているのだろうか。

 マースジャパンでは、人にもペットにも良い環境をつくるため、さまざまなルールを設けている。例えば、同伴は犬と猫に限り、1日に出社できるのはオフィス全体で3頭まで。事前申請を受け付けた上で、誰がどんな動物を連れてくるか、社内メールで告知する。オフィスでは必ずリードにつないでおくのがきまり。そうすることで、動物が苦手な人やアレルギーがある人は、オフィスのどこにどんな動物がいるか、事前に把握できる。オフィス猫が2部屋しか行き来できないのも、そのような配慮があるからだ。

 他にも、ビルの出入りやオフィスでのふるまいなど、必要に応じてルールを決めてきた。そのため、これまでに大きなトラブルやクレームなどはないという。

photo オフィス猫の部屋。上部にあるトンネルで、隣の会議室と行き来できる

 一方、ペットを連れてくることがストレスにならないような配慮もある。ペット同伴の日は、自家用車やタクシーで通勤できて、駐車場代やタクシー代は会社が全額補助する(月2回まで)。「満員電車で連れてくるぐらいなら、家に置いてきた方が、ペットにとって“幸せ”ということになってしまう」(中村さん)という考えからだ。

 ここまでして、ペットがいるオフィスを作り上げてきた。その根底には、ある考え方がある。

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