「あなたは26歳で、顔の魅力度は75点」「あなたは30歳で80点」――。iPadのカメラに顔を写すと、AI(人工知能)が瞬時に年齢と“顔の魅力”を数値化し、鏡に映し出す技術「HumanAction」が展示会「第2回 AI・人工知能 EXPO」(4月4〜6日、東京ビッグサイト)で披露された。
出展したセンスタイムジャパン(京都市)は、中国のAIベンチャーSenseTime Groupの日本法人。SenseTimeは10代に人気の自撮りアプリ「SNOW」の顔認証技術を手掛けるなど、認識対象の表情を正確に把握できる技術力を持つことで知られる。
「HumanAction」も「SNOW」の顔認証技術を生かして中国本社が開発した。日本市場で商品化する場合は日本法人がカスタマイズを担う予定。
「HumanAction」は年齢・男女を問わず利用可能で、複数の人物の同時採点にも対応する。100点満点で採点し、80点以上が「イケメン」「美女」に該当するという。平均値は70点程度。
センスタイムジャパンの勞世コウ(ろう・せいこう)社長によると、「HumanAction」の開発に当たり、主に中国で数百万人の男女の写真を撮影。数百人のスタッフを起用して顔の造作を採点させ、年齢と共に画像データにひもづけて機械学習させたという。
その上で、入力された顔データに対し、機械学習済みのデータを基に正確な採点結果と年齢を導き出す関数を構築。カメラが顔を認証した後、顔のパーツのバランス、肌の状態、輪郭――などの情報を基に、瞬時に数値を算出する仕組みを整えた。
勞社長は「『HumanAction』はあくまで当社の技術力を示すために出展しており、早期のサービス化は考えていないが、近年急成長を遂げている“婚活アプリ”と連携できれば面白い」と展望を話す。
「顔のタイプ別に好きな異性の傾向を見いだし、ユーザーが“自撮り”をすると、相性のよさそうな異性や同等のスコアの異性をレコメンドするサービスはスケールしそうだ。使えば使うほど、より個人にマッチした異性を紹介できる仕様にできるといいだろう」という。
「ゆくゆくは婚活アプリの開発企業にこの技術を導入し、勘と経験に基づいた結婚相談所のビジネスをデジタル化する流れを加速させたい」(勞社長)
展示会のブースでは、多くの報道陣が「HumanAction」の体験に訪れていた。テレビ局の女性レポーターなどは80点台を記録していたが、記者は平均程度の73点。勞社長は80点だった。
センスタイムジャパンはこのほか、(1)セキュリティカードの代わりに顔認証でオフィスの入退館や勤怠管理ができる「SenseGuard」、(2)映像を基に歩行者や車両の属性を識別できる交通監視・自動運転向けの「SenseVideo」、(3)監視カメラと顔認証技術を組み合わせ、要警戒人物が現れた際にアラートを発する「FaceNext」――などを出展している。
勞社長は「日本での自動運転の実現やインフラの充実に向け、当社の技術力を生かしていきたい」と意気込んでいる。
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