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「価格破壊者」だった大塚家具がニトリに敗れた理由どこで差がついた?(2/4 ページ)

» 2018年04月23日 06時00分 公開
[昆清徳ITmedia]

安売りからスタートしたニトリ

 ニトリは、67年に「似鳥家具店」としてスタート。72年に「似鳥家具卸センター株式会社」を設立。当時の状況を、創業者である似鳥昭雄氏(現・ニトリホールディングス代表取締役会長)は自著『運は創るもの ―私の履歴書』(日本経済新聞出版社)で次のように説明している。

 「もともと安売りのイメージを出すためだけに『卸センター』を掲げていた(中略)。きちんとした名前でまっとうな商売にしようと思い、『詐欺』のような看板を下ろした」

 当時は、倒産品を仕入れて安く売る業態だったという。しかし、その後は「海外商品の直輸入」「家具メーカーの実質子会社化」「海外自社工場の稼働」と着実に製造小売業としての地歩を固めていった。

photo 創業時のニトリ(出所:ニトリホールディングス公式Webサイト)

 大塚家具のビジネスモデルに陰りが出てきたのは2000年代後半からだ。新設住宅着工戸数が減少するにつれ、国産家具と輸入家具の市場が縮小し続けた。住宅の新築にあわせた家具のまとめ買い需要は減少し、消費者は家具を必要なときに必要なだけ購入するようになった。そのニーズをとらえたのがイケアやニトリだった。窪田氏は潮目の変化をこう解説する。

 「かつて『安かろう悪かろう』だった中国製などの家具の品質が向上してきた。価格も手ごろなので『家具はニトリやイケアで十分』と考える消費者が増えてきた」

 家具市場は「高品質で高価格」と「品質がそこそこで低価格」に二極化した。高価格帯の需要はそれほどあるわけではない、

 もう1つの変化は、「トータルコーディネート」という考え方が登場したことだ。ソファー、テーブル、本棚などまとめて部屋づくりを提案するというスタイルだ。イケアやニトリは手ごろな価格で部屋作りを提案し、それが受け入れられていった。地方ではなく、都市部に住む住民が増えた結果、手狭な住宅では高級な大型家具ではなく、コンパクトな家具が支持された。

photo 「まとめ買い」から「単品買い」へ(出所:大塚家具公式Webサイト)

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