例えば、チェッカーズの「ギザギザハートの子守唄」を例に出すまでもなく、少年といえば、触るものみな傷つけるナイフのような「キレやすさ」がある。
2017年12月、日本労働組合総連合会が全国の15歳〜69歳の一般消費者1000名に、これまでサービスや商品について苦情・クレームを言ったことがあるかを調査した。言ったことがある割合は39.2%で、年代別でみると50代が最も多く51.5%。また接客業務従事者1000名にも同じ質問をしたところ、断トツに多かったのは50代で68.5%。一般消費者の傾向を見れば、10〜20代で苦情・クレームは言う人は少数で、50代をピークに40代や60代が飲食店や小売店でキレまくっていることが分かる。
ドラマや漫画では、世間知らずのヤンチャな若者が、ファミレスやらに無理筋のクレームをつけているイメージだが、いまの日本では、いい歳こいたおじさんたちが、息子や娘であってもおかしくない若者たちにガチギレしているのだ。
ほかにも「少年の心をもったおじさん」が増えていることを示すデータは枚挙にいとまがない。
例えば、光GENJIの「ガラスの十代」なんて歌があったように「少年」は傷つきやすい。周りからのちょっとした心ない言葉に傷つき、悩み、そして殻に閉じこもる。
だが、そんな話も今は昔。2013年に山形県が「ひきこもり」の実態調査したところ、40〜60代が約45%も占めていることが分かった。さらに翌14年に島根県が行った調査でも、40代以上が53%と半数を超えている。壊れそうなものばかり集めてしまっている「ガラス世代」は、実は日本では40代や50代のおじさんたちなのだ。
こういう情緒不安定さがうかがえる「少年のようなおじさん」が増えている現状を踏まえれば、58歳のエリート財務官僚が、娘くらい歳の離れた女性記者に「おっぱい触っていい」などとセクハラをしたり、酒癖の悪い46歳のアイドルが、女子高生を自宅に呼び出して、いきなりキスをするような強制わいせつに走ったりするのも納得ではないか。
つまり、山口さんの強制わいせつ事件や、福田淳一さんのセクハラ騒動は、日本中のあらゆる組織で「少年の心をもったおじさん」が次々と暴走を始めていることの氷山の一角というか、シンボリックな現象と見ることができるのだ。
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