東大と生協、中央食堂の絵画廃棄について釈明 情報共有ミス廃棄処分は事後報告

» 2018年05月08日 14時21分 公開
[中澤彩奈ITmedia]

 東京大学消費生活協同組合(東大生協)と東京大学は5月8日、同大中央食堂に展示されていた宇佐美圭司氏の絵画「きずな」を誤って廃棄処分してしまった問題について、「貴重な文化資産である作品を失う事の重大さに思いが至らなかったことを深く反省し、心よりお詫び申し上げます」と謝罪し、経緯や要因を説明した。

phot 東京大学中央食堂の絵画廃棄処分についてのお詫びと経緯のご報告

 廃棄した「きずな」は1976年に東大生協創立30周年記念の際に東大生協に寄贈され、40年以上にわたり展示されていた。

 中央食堂は老朽化に伴い、今年3月の完成をめどに全面改修工事を実施。その際、同作品を昨年9月14日の時点で廃棄処分したが、食堂利用者の指摘があるまで半年間以上にわたって明らかにされていなかった。

phot 要因と事実経過

 東大によると、同作品の所有権を持っていた東大生協と東京大学の間で情報共有が適切に行われなかった点などを原因として挙げている。

 改修工事の打ち合わせの段階で、工事の監修にあたった東京大学の教授が、意匠上も機能上も問題ない新たな設置場所を具体的に指定していたという。だが、関連の会議でそれが適切に共有されなかったという。その結果、「絵画をそのまま残して設計を変更するか、作品を廃棄するしかないという誤った認識」で、東大生協が廃棄処分を決めたという。

 また、東大生協側は改修工事を進める中で、絵画を移設するために改修工事の設計を変更するか絵画を廃棄させるか、という二者択一しかないとの誤った認識のまま、作品保護の方法を十分に検討することなく軽率に廃棄処分の判断を下したと説明。東大にも作品の取り扱いについては相談せず、事後報告扱いになった。

 東大は「今後は同様な過ちを二度と繰り返さぬよう、学内に存在する数多くの学術文化資産について関係者間での正確な情報共有を徹底し、適切な保存・管理に一層の努力を重ねて参る所存」としている。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.